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思い立って、旅に出た。―だから、旅っていい。

わたしは夏と冬にまとまった休みをとることができるから、割と毎年旅に出ている。
といっても、国内ばかり。
海外も行ってみたいなー、と思うけれども、その前に国内の魅力的な地を訪れることを優先してしまい、海外旅行は未経験。
そろそろ今年あたりは海外デビューしてみたい。

この冬もどこかに行きたいな……とぼんやり考えてはいたが、春から大学生になるわたしは、PCを購入したり、これから払う入学金のことを考えたりすると、遠出することは諦めた。
せっかくだから……と、ゲットしたてのPCでこのnoteを始め、インドアライフを楽しんでいた。
まぁそれはそれで悪くはないけれど、友人たちがあちらこちらに出かけるのを見ていると、旅好きの血がうずっとしてしまう。


なので、思い立って旅に出た。
特急列車で約1時間。
全然日帰りできちゃう距離だけど、そこはあえて宿泊して、旅気分に。
ちょうど泊まってみたかったホステルもあるし、予約しちゃお。
あとは、まぁ……気分に任せて。

出発は12時頃の特急列車。
なんてのんびりスタートなんだ。
わたしは乗り鉄であり飲み鉄であるので、駅でビールと、つまみとして肉まん、あんバターサンド、チーズを購入。準備万端!

車中はポッドキャストを聞きながら、車窓と飲食を楽しむ。
天気は快晴!言うことなし。
そうそう、これだよこれ、旅ってこうだよね~~~~~~!!!!とご機嫌なわたし。

1時間って、移動時間としてはすごくちょうどいい。
トイレの心配なし、足のむくみもなし、車窓に飽きることもなし。
ワクワクした気持ちをキープしたまま目的地に到着できる。


辿り着いた土地も、抜けるような快晴。
1月なのでシャキッと寒いけれど、日差しがあれば気持ちが良い。
よし、歩こうか。
目的地にしている場所があったけれど、なんとなく寄り道したくなり、違う方向に歩き出した。
そうだ、この辺りには海がある。そんなに遠くないはず。
気づいちゃったら、もう止められない。
あー、海、いいじゃん。海、行きたいわ!うん、海、行こう!!!

まっすぐな道をてくてくと歩き、大きな国道を横切り、見えてきた。
きらっきらの、海!

眩しくて、眩しくて。

海岸に降り立つと、人っ子一人どころか、海鳥さえもいない。
まさに貸し切りの、海!

冬の海は、とてもよかった。
天気が良かったので、日本海なのにその日は凪。波音がとても優しかった。
風は冷たいけれど、日差しがたっぷりと降り注ぎ、柔らかかった。
砂浜に転がるたくさんの流木や貝殻、どこからか流れ着いてきた生活用品や不用品。その無機質な諸々が、静けさを高めていた。

川から細々と流れてくる水流は寒さのために凍り付き、太陽の光を乱反射。きらめきに目を細めた。

手前のキラキラが川の流れの痕跡。


その静けさ、眩しさ、寒さ、温かさ、すべてを味わっているのはそこでわたしひとり。
世界中に存在している生命体は、自分だけなのではないかと錯覚してしまう孤独感。
わたしは、そういう孤独感がすきだ。


自分の中にふと生まれる矛盾がある。

ひとりでいるのに「ひとりになりたい」。

その、自分でもよくわからない矛盾が、その海で満たされたように思う。
物理的に、ではなく、精神的にも「ひとり」。
今ここにいる生命体はわたしだけ。
このまま誰にも知られず、ひっそりとこの海に溶けてしまいたい。
そう感じられたときに、「ひとりになりたい」が満たされた。

この年末は、自分の幼さ、わかってはいるけれど変えることのできない、致命的な悪い癖によって、大切な人間関係を壊してしまった。
自分が悪いとわかっていても、それを素直に受け止めきることができなかったり、他力本願に解決してもらいたいと願ったり。
いくつになっても、自分の心とうまく付き合うことができず、自分に疲れてしまう。
そんな経験がきっと、わたしを海に誘ったのだと思う。


海に行ってよかった。
そこが目的地ではなかったけど、その時の、今のわたしには海が必要だった。
望んでいたわけではないけれど、きちんと導かれた。

だから旅っていい。
この旅をしなければ、自分を内省することはできなかっただろうし、新たなインプットをする気持ちになれなかったと思う。
こうやって冷静に文章に書き起こし、自分を知ることができている。

改めて。
「旅っていい。」

旅の記憶。
たった1泊だけど、孤独が満たされると出会いが訪れた。
そのこともいつか記録したい。

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