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JW249 疫病発生

【疫病混乱編】エピソード1 疫病発生


第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。

ここは磯城瑞籬宮(しきのみずかき・のみや)。

詔(みことのり)発表の翌年、紀元前93年、皇紀568年(崇神天皇5)のある日。

崇神天皇こと、御間城入彦五十瓊殖尊(みまきいりひこいにえ・のみこと)(以下、ミマキ)は、この物語のオリジナル設定により、皇太后(おおき・おおきさき)代行となっている、包媛(かねひめ)(以下、カネ)の元を訪れていた。

皇室系図(包媛)

カネ「大王(おおきみ)・・・。今日は、どうしたのです?」

ミマキ「実は、義母上に聞いていただきたい話がございまして・・・。」

カネ「聞いてほしい話とは、何です?」

ミマキ「今年、神社が創建されたのでござる。」

カネ「じ・・・神社?」

ミマキ「左様! その名も、日吉浅間神社(ひよし・せんげんじんじゃ)にござる!」

日吉浅間神社(鳥居)
日吉浅間神社(拝殿)

カネ「浅間? ということは、祭神は、木花開耶姫(このはなのさくやひめ)ですね?」

ミマキ「さすがは義母上。その通りにござる。分かりやすく言えば、富士山のことですな。」

カネ「そ・・・それで、どこに建てられたのですか?」

ミマキ「静岡県富士市(ふじし)の今泉(いまいずみ)にござる。」

地図(日吉浅間神社)

カネ「な・・・なるほど。建てられたのですね。」

ミマキ「はい。建てられもうした。以上にござる。」

カネ「神社が創建されるのは、まことに喜ばしき限りですが、まだまだ紙面が残っておりますよ。これで良いのですか?」

ミマキ「そのことなのですが・・・。実は、未曽有(みぞう)の惨事(さんじ)が出来(しゅったい)しておりまして・・・。」

カネ「未曽有の惨事? いったい、何が起こったのです?」

ミマキ「疫(やく)にござりまする。」

カネ「疫? 伝染病が起こっているのですか?」

ミマキ「左様・・・。それも大流行という有り様・・・。」

カネ「だ・・・大流行・・・。」

するとそこに、大臣(おおおみ)の物部伊香色雄(もののべ・の・いかがしこお)(以下、ガーシー)が駆け込んできた。

系図(物部氏・伊香色雄)

ガーシー「お・・・大王・・・。申し上げんといかんことが・・・。」

ミマキ「おお、ガーシーか? 如何(いかが)致した?」

ガーシー「多くの豪族たちが、疫の毒牙(どくが)というか、作者の陰謀によって・・・。」

ミマキ「ど・・・どういうことじゃ?」

ガーシー「葛城伊牟久(かずらき・の・いむく)こと『イム』。大倭御物(やまと・の・みもの)。大伴角日(おおとも・の・つぬひ)こと『ツン』。久米五十真手(くめ・の・いまて)こと『マッテ』が、疫によって、身罷(みまか)りました・・・(´;ω;`)ウッ…。」

系図(四氏族)

ミマキ「なんじゃと!? 皆、先代と共に、欠史八代(けっしはちだい)の解説で活躍した面々ではないか!?」

ガーシー「そうですねぇ。これも作者の陰謀で・・・。」

ミマキ「引退の挨拶も、次代の紹介も無く、一斉に逝ってしまったと申すか?」

ガーシー「その辺は、御心配なく。次代の者たちを連れて参りました。」

ミマキ「おお、そうか・・・。」

ガーシー「まずは葛城氏から! 宮戸彦(みやとひこ)こと『みやさん』やで!」

みやさん「お初にお目にかかるでござるよ。『みやさん』と呼んでほしいでござるよ。」

ガーシー「続いて、大倭氏から! 市磯長尾市(いちしのながおち)こと『イッチー』やで!」

イッチー「お初にお目にかかるっちゃ! 『イッチー』やに!」

ガーシー「続いて、大伴氏から! 豊日(とよひ)やで!」

豊日「お初にお目にかかるっちゃが! 豊日やじ! よろしくっちゃ!」

ガーシー「続きまして、久米氏から! 彦久米宇志(ひこくめうし)こと『うし』やで!」

うし「お初にお目にかかるっす! 『うし』っす! 頑張るっす!」

ガーシー「以上やで。」

系図(四氏族・新世代)

ミマキ「そ・・・そうか・・・。このような、唐突なことになろうとは・・・。」

カネ「本当ですねぇ。」

ミマキ「されど、豪族たちが、作者の陰謀とは申せ、疫によって亡くなっているということは、民(おおみたから)にも、甚大な被害が出ておるのではないか?」

ガーシー「その通りです。民も、半数以上が、疫によって死んでるんですわ・・・。」

ミマキ「は・・・半数じゃと・・・(;゚Д゚)」

ガーシー「人手が減った村々は、作物を育てることも難しくなって、飢饉(ききん)の様相を呈(てい)してるみたいです。」

カネ「大王! 早く手を打たねばなりませんよ!」

ミマキ「わ・・・分かっておりもうす。疫を止めるには・・・。そ・・・そうじゃ! 水じゃ。飢饉対策として、まずは、溜池(ためいけ)や溝(みぞ)を造るのじゃ! そして、水の神様を祀(まつ)るのじゃ!」

カネ「そ・・・そんなことで、疫が収まるのですか?」

ミマキ「そのようなことを申されましても、今のわしには、それくらいしか・・・。」

ガーシー「こうして、建てられたのが、建水分神社(たけみくまりじんじゃ)やで。」

建水分神社(鳥居)
建水分神社(拝殿)

カネ「ど・・・どこに鎮座(ちんざ)しているのです?」

ガーシー「大阪府千早赤阪村(ちはやあかさかむら)の水分(すいぶん)やで!」

地図(建水分神社)

ミマキ「祭神は、天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)、天水分神(あめのみくまりのかみ)、国水分神(くにのみくまりのかみ)、罔象女神(みつはのめのかみ)、瀬織津姫(せおりつひめ)であるぞ!」

ガーシー「天御中主神以外は、みんな、水の神様なんやで!」

こうして、神社の創建などをおこなったのであるが、疫病は、一向に収まる気配をみせないのであった。

一体どうなってしまうのか・・・。

次回につづく

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