JW246 亀山より愛を込めて
【崇神即位編】エピソード4 亀山より愛を込めて
第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。
紀元前96年、皇紀565年(崇神天皇2)のある日、宮中(きゅうちゅう)に光る玉が出現した。
驚く崇神天皇こと、御間城入彦五十瓊殖尊(みまきいりひこいにえ・のみこと)(以下、ミマキ)。
その傍らで、大臣(おおおみ)の物部伊香色雄(もののべ・の・いかがしこお)(以下、ガーシー)が衝撃発言をおこなうのであった。
ガーシー「他にも光る玉が出現したみたいなんですよ。」
ミマキ「もう一つ、光る玉が出現したと申すか?」
ガーシー「そうです。なんや、針間国(はりま・のくに)にも出現したみたいなんですわ。」
ミマキ「針間と申せば、二千年後の兵庫県南部のことじゃな?」
ガーシー「そうですねぇ。せやけど、どうします?」
ミマキ「こ・・・こうなったら、調べるほかあるまい。よし、わしの甥っ子、丹波道主王(たにわのみちぬし・のきみ)こと『ミッチー』を呼べ!」
こうして、ミッチーが呼び出された。
ミッチー「大王(おおきみ)。ただいま、参上仕(さんじょう・つかまつ)りもうした。」
ミマキ「うむ。して、汝(いまし)を呼び出したのは、ほかでもない。此度(こたび)の光る玉についてじゃ。」
ミッチー「光る玉について? それがしに、何をせよと?」
ミマキ「実はな・・・。針間においても、光る玉が出現したというのじゃ。」
ミッチー「針間にも?! 面妖(めんよう)なるモノが、二つも有ると申されまするか?」
ミマキ「そうらしい。そこで、汝(いまし)に針間の光る玉を調べてもらいたいのじゃ。」
ミッチー「大王の命とあらば、断る道理もござりませぬが、宮中に現れし光る玉は、如何(いかが)なされまする?」
ミマキ「針間と宮中の光る玉には、相互関係が有ると、わしは見ておる。針間の光る玉のことが分かれば、おのずと宮中の光る玉の真相も分かると思うのじゃ。」
ミッチー「大王の御考えと申すより、作者の考えにござりまするな?」
ミマキ「どちらでもかまわぬ。それよりも、直ちに針間に向かってほしいのじゃ。」
ミッチー「かしこまりもうした。」
こうして、ミッチーは針間へと旅立ったのであった。
ミッチーの背姿を眺めながら、ミッチーの父で、ミマキの弟、彦坐王(ひこいます・のきみ)(以下、イマス)が呟く。
イマス「息子は、見事、務めを果たすであろうか・・・。」
ミマキ「何を心配しておるのじゃ。汝(いまし)の息子ではないか。必ずや、真相を解明してくれるであろう。わしは信じておるぞ。父の汝が、信じずして、何とする。」
イマス「兄上・・・。されど、やはり心配で、心配で・・・。」
ミマキ「安心致せ。合いの手に、もう一人の息子、神大根王(かむのおおね・のきみ)こと『ノーネ』も付けておる。」
イマス「なっ!? 伝承には関わっておらぬ『ノーネ』を付けたと申されまするか?!」
ミマキ「うむ。作者の陰謀じゃ。」
そんなこんなで、ミッチー(とノーネ)は、針間に辿り着いたのであった。
ミッチー「針間が物語の舞台となるのは、これが初めてではなかったか?」
ノーネ「兄上、正解! 初の展開!」
ミッチー「して、これが光る玉か・・・。宮中のモノと、さほど変わらぬようじゃな・・・。」
ノーネ「玉は変わらぬモノ! 人は変われぬモノ!」
ミッチー「して、ここは、針間のどこなのじゃ?」
ノーネ「気になったところ! 亀山(きのやま)ってところ!」
具体的な場所が分かったところで、二人(と従者たち)が、光る玉をじっと眺めていると、玉は唐突に蠢(うごめ)き出した。
そして、一柱(ひとはしら)の神様が出現した。
それは武甕雷神(たけみかづち・のかみ)(以下、タケミー)であった。
タケミー「エピソード35以来の登場じゃ!」
ミッチー・ノーネ・従者たち「ええぇぇ!!」×多数
タケミー「して、汝(いまし)らが、サノの子孫か?」
ミッチー「御初代様を呼び捨てとは・・・。さすが、大神よ・・・。」
タケミー「そんなことはどうでも良い。それよりも、この亀山(きのやま)に、わしを祀(まつ)りし、神跡(しんせき)が有るのじゃが・・・。」
ノーネ「亀山(きのやま)にタケミーの神跡! 俺は大王の親戚(しんせき)!」
タケミー「や・・・やりづらい・・・。」
ミッチー「して、その神跡が、何だと申されまするか?」
タケミー「うむ。遥か昔、わしが『この地に鎮(しず)まろう』と申したので、大石を立て置いた神跡が作られたのじゃが、この地に、ちゃんとした社(やしろ)を建ててほしいと思ってな・・・。」
ミッチー「か・・・かしこまりもうした。」
タケミー「これが、井関三神社(いせきさんじんじゃ)の奥宮(おくみや)であるぞ!」
ミッチー「それを伝えんがため、光る玉となって現れたのでござりまするか?」
タケミー「いや、伝えるべきことは、ほかにもある。」
ノーネ「それは何? ほかに何?」
タケミー「実は、この地に、饒速日命(にぎはやひ・のみこと)も祀ってほしいのじゃ。」
ミッチー「に・・・饒速日命と申せば、物部氏(もののべ・し)や尾張氏(おわり・し)の御先祖様ではありませぬか?」
タケミー「その通りじゃ。そして、社の名は、天照神社(あまてるじんじゃ)であるぞ!」
ミッチー「饒速日命を祀る神社の名が、天照? これは、一体、どういうことにござりまする? 天照大神(あまてらすおおみかみ)が関わっておるのですか? それに、井関三神社という名があったはず・・・。」
タケミー「うむ。疑問に思うのも分かるぞ。実はな、饒速日命の本名は、もっと長いのじゃ。」
ミッチー「長い?」
タケミー「天照国照彦火明櫛饒速日命(あまてらすくにてらすひこほのあかりくしにぎはやひ・のみこと)が本名なのじゃ。よって、最初の天照を神社の名前に付けたというわけじゃ。」
ミッチー「なるほど・・・。ところで、井関三神社という名は、どうなったのでござるか?」
井関三神社と天照神社の関係とは・・・。
次回につづく
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