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#4 担任必見!学級経営の成功を目指す:大学で学べなかった裏側を公開

知っトク!学級経営③


1はじめに

前回までの内容を簡単にふりかえります。

学級経営とは
「クラスが学びの集団として成立するよう、担任が、継続的・計画的に意思決定を実行し、クラスを運営していくこと」
でした。

クラスを成長させるために、具体的にどんな子どもに育ってほしいのかを決めることが、自分のゴールでした。

     クラスを成長させる+児童像=自分のゴール

そして、
「どんな学級にしていきたいか」というビジョンと、
「学級を経営するにあたって、自分は担任として何を大事にするか」という価値を合わせたものが経営理念でした。

       ビジョン+価値=経営理念

学校の先生は学級の経営者です。自分が受け持ったクラスの子ども達が、1年後、こうなってほしいという願いを持たない限り、学級の経営は始まりません。

つまり、担任をするのであれば、学級経営のピラミッド図を理解してゴールの設定から考えていく必要があるのです。↓

学級経営のピラミッド図

残念ながら、大学ではこのようなことは教えてくれません。ちなみに私は、経営学の本を読み、自分の経験と重ねていきながら独自の理論を構築していきました。

2学級経営という科目の現状

みなさんは学級経営をどこで学びましたか?
ほとんどの方が、先生になってからではないでしょうか。
もちろん私もその一人です。

教職課程のある大学において、学級経営が履修科目にないため、学級経営とは何かを知らずに先生になる人がほとんどです。
しかし、先生になる前に学んでおかないといけないのは、この学級経営です。
学級経営の本質を知らないまま担任をしていると、いつか痛い目に遭います…。

では、なぜ学級経営は履修科目にないのでしょうか?

答えは簡単です。教える人がいないからです。

学級経営については、座学の研究だけでは教えることができません。少なくとも10年程度の担任経験がないと、教えるのは難しいかと思います。10年以上担任経験のある大学教授って果たしてどれくらいいるのでしょう?
調べたことがないのでわかりませんが、おそらくほとんどいないと思います。

OJTで学級経営を伝えるには限界があります。
早急に、学級経営を大学の履修科目にしていかなければいけないと感じています。
具体的には、「学級経営概論」及び、「学級経営実践論」なる履修科目をぜひ設置してもらいたいと願っています。文科省の方、是非ご検討ください。

学級経営が履修科目になれば、先生方の再就職先として雇用機会も増えます。このようなことが実現できたらなと願っています。

3経営目標とは?

前回は、学級経営のゴールの設定と経営理念についてお話してきました。
詳しくはこちらを↓ ご覧ください。

学級経営って何だっけ?という方は、こちらも↓ あわせてご覧下さい。

さて今回は、経営目標です。
具体例がないと説明できないので、
以下の設定で説明していきます。あらかじめご承知おき下さい。

「一人一人が相手を大切にする子に育つこと」をゴールに

「感謝の気持ち」「他者意識」「自分を好きになる」の3つの価値を軸に

「互いに助け合い、困ったことがあっても大丈夫と思えるような安心できるクラス」
を目指す2年生の先生を例にしながら考えていきます。

経営目標とは、
「経営理念を実現させるための手立てのこと」
です。
具体的には、自分作り(個人)と学級作り(全体)の両方についての目標を考えていきます。

2年担任ともぞう先生の経営目標

①朝の会か帰りの会のどちらかで、他者意識が感じられた子どもを必ず1人見付け、クラス全体に紹介する。(学級づくり)
②帰りの準備の時間(5分程度)を使って、自分の頑張ったことを振り返りながら、ほめほめ日記を書く。(自分づくり)
③金曜日の帰りの会で、3つの価値をもとに、クラスの一人を必ず表彰する。(学級づくり、自分づくり)

朝の会や帰りの会でよい言動を紹介したり、表彰したり、自分を振り返る日記を書かせたりし続けることで、

「互いに助け合い、困ったことがあっても大丈夫と思えるような安心できるクラス」
を目指していくのです。

1か月程度継続していけば、必ず成果が目に見える形となって現れます。それまでは辛抱です。

4経営目標の実際

では、イメージトレーニングをします。目を閉じて自分が描いた理想のクラス像を思い浮かべていきます。
まずは、登校してから朝の会が始まるまでの様子を思いうかべてみましょう。

教室に入って来る子どもには、どのように入ってきてほしいですか?
一日の始まりですから、元気よく先生に挨拶して入室してほしいですね。
助け合うクラスにするなら、声の掛け合いは欠かせません。

また、他者意識を価値付けていきたいのだから、先生よりも先に名前をつけて挨拶できているといいですね。
「ともぞう先生、おはようございます」
「〇〇さん、おはよう。今日も、先生より先にあいさつできたね」

次に、朝の準備はどうでしょうか?
低学年なので、整理整頓や準備を苦手にしている子が、いるかもしれません。
そんな子がクラスにいた時、どうしたらよいですか?
いきなり手伝ってあげるのは、よいとは言えません。
準備に困っているのか、まずは声をかけて確認しましょう。

「だいじょうぶ、〇〇さん」
「うん、だいじょうぶ一人でできるよ。ありがとう。△△さん」

こんな会話が出てきてほしいですね。
もしこのような会話を聞いたら、それを見逃さずに全体で価値付けすることを忘れないようにします。

しかし、もし泣きながら教室に入ってきた子がいたらどうでしょう。
朝の準備どころではありませんね。そういうときはさりげなく手伝ってあげる子がいてほしいものです。

また、朝の会はどうでしょうか。
準備が終わった子には、どうやって過ごさせますか?
自由帳や読書もいいですが、それでは他者意識、感謝の気持ち、自分を好きになるといった3つの価値は育ちません。
早く準備できたら、全員の準備が終わるまで姿勢よくして待つとか、友達の手伝いをするとか、何かできるはずです。

姿勢よくして待ち、先生に褒められたら、頑張っている自分が好きになり、次の日も頑張って姿勢よくして待つことでしょう。

友達の手伝いをしたら、「ありがとう」の感謝の言葉をもらい、また誰かを助けてあげようとする他者意識が育つでしょう。また、手伝ってもらった子は、感謝の気持ちを抱くようになり、いつか違う場面で、誰かを助けてあげようになることでしょう。

ほかにも、朝の会では、挨拶は誰としていますか?
日直が前に立ち、全体で、先生とあいさつするのが一般的かと思います。

ですが、他者意識を育てていきたいのであれば、挨拶も、ひと工夫あってもよいでしょう。

先生とあいさつ、隣の子とあいさつ、班のみんなであいさつなどすると、朝から相手を意識できるようになります。しかも全員ができます。

他にも、学校の一日は続きますが、きりがないので、これくらいにしておきます。

このように、自分がどんなクラスしていきたいのか、具体的な場面をイメージできるようになると、何を目標にしていくとよいのか、見えてくるようになります。

それまで修行していくしかありません。

5まとめ

さいごに、学級目標と経営目標の違いについて説明します。

学級目標は、子ども達が、先生と共に、話し合いを通して決めるもの。
経営目標は、担任が、児童の実態も踏まえて決めるもの。

つまり、学級目標と経営目標は別物と捉えています。
1年をかけて、子ども達と共に考えた学級目標が、自分の考えたクラス像に近付いていけばよいのです。

経営目標はあくまでも1年後の目指すクラス像を実現するための手立てなので、経営目標=学級目標にはなりにくいと考えます。

では、次回は経営戦略(児童理解)について話をしていきたいと思います。

参考になる方が、一人でもいたら幸いです。


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