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梨状筋症候群パート1

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梨状筋症候群は、日本整形外科学会でも定義が明記されていませんが、文献などでは、この様に表記されていることが多い様に思います。

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梨状筋症候群といえば坐骨神経痛が有名かと思います。後でも出てきますが、梨状筋症候群は坐骨神経だけでなく他にも絞扼される神経はたくさんあります。しかし、まずは坐骨神経についてお話ししていきます。 坐骨神経痛は大きく2つに分けると神経根障害の腰椎椎間板ヘルニア、殿部の梨状筋下で絞扼されるものがあります。前者は脊柱のところで髄核により圧迫を受け、後者は殿部のところで絞扼されます。同じ坐骨神経症状でも障害場所が違うと言うことです。腰椎椎間板ヘルニアについては、また改めて解説します。ここで簡便に腰椎椎間板ヘルニアと梨状筋症候群を見分ける方法として、梨状筋の圧痛・放散痛を確認するようにしています。腰椎椎間板ヘルニア単独の場合、梨状筋には圧痛は確認できないはずです。しかし、ここで注意が必要で、のちにも出てきますが、腰椎椎間板ヘルニアと梨状筋症候群が併発している症例が報告されています。つまり、坐骨神経痛を疑った場合、腰椎椎間板ヘルニアと梨状筋症候群をそれぞれ評価し鑑別する必要があります。その評価を元にどちらにアプローチすれば改善の可能性が高いのか検討していくことが大切かと思います。

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腰椎椎間板ヘルニアは髄核が椎間板から突出し、神経圧迫にて症状が現れると考えられています。髄核が徐々に突出してくるとは考えにくいので、ヘルニアの症状はわりと急にかと思います。それに対して、梨状筋症候群は梨状筋の過緊張によって神経が絞扼され症状が現れます。筋の過緊張は、急激と言うよりは徐々に筋の緊張が高くなるので梨状筋症候群の場合、症状はゆっくり現れると考えます。よって、腰椎椎間板ヘルニアと梨状筋症候群の鑑別に、症状の現れ方を参考にしても良いかと考えます。しかし、これだけで判断するのではなく、参考程度にして腰椎椎間板ヘルニア・梨状筋症候群それぞれ評価していくことが大切と考えます。

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梨状筋症候群の診断には、坐骨神経ブロックが有効と言う報告がありました。しかし、この方法は医師しかできません。医師以外の方は症状の場所・経過・理学所見など様々なことを考慮して評価して診断の確率を高めていく必要があると感じています。

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治療前にまず、画像所見の確認や問診を行うと思います。梨状筋症候群の特徴を理解し、これらの特徴が問診で伺えたら梨状筋症候群を疑いストレステストなどの評価に移っていきます。腰痛の中には下肢痛を伴う椎間関節性腰痛・腰椎椎間板ヘルニア・仙腸関節痛・脊柱管狭窄症などがあります。そして、梨状筋症候群の症状と類似する腰痛があります。よって様々な腰痛の特徴を理解し、類似する腰痛の種類も評価して根拠に基づく絞り込みを行っていく必要があります。これが難しいんです。

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梨状筋は屈曲60°で内外旋の作用が逆転すると言われています。上記に示したのは梨状筋の収縮作用で伸張させるときは屈曲60°以上・内転・外旋で伸張ストレスを与えやすい。 

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梨状筋以外にも回旋作用が逆転する筋があります。ストレッチなどする際には参考にできると思います。

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梨状筋と坐骨神経には6種類くらいタイプがある様です。タイプによって梨状筋症候群の発症頻度に差がある様です。

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また、外旋筋群に腱様の組織が存在していると坐骨神経の絞扼にも悪影響を与える様です。 梨状筋の緊張だけでなく、その他の外旋筋群の過緊張も絞扼を悪化させる因子となることが考えられます。 また、坐骨神経の癒着も症状に関与していると言われているので癒着の防止や滑走性向上のアプローチも考慮する必要があると考えます。

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では梨状筋周囲の解剖学です。梨状筋と小殿筋の間を梨状筋上孔、梨状筋と上双子筋の間を梨状筋下孔といいます。 梨状筋上孔と梨状筋下孔からはたくさんの神経や血管が出ています。つまり、絞扼障害が起これば、坐骨神経症状だけでなく、その他、たくさんの症状が出現することが考えられるのです。

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では神経に焦点を当てていきましょう。梨状筋症候群と言えば坐骨神経というイメージが強いのではないでしょうか?しかし、梨状筋の上下には坐骨神経以外にもたくさんの神経が出ています。 梨状筋上孔からは、上殿神経が出ています。梨状筋下孔からは坐骨神経・後大腿皮神経・下殿神経・陰部神経が出てきます。 絞扼障害は梨状筋の緊張だけでなく上孔を作る小殿筋、下孔を作る上双子筋の緊張も確認する必要があります。その他の外旋筋の過緊張が坐骨神経を表層に押し上げて緊張させるという報告もあります。 神経痛の特徴としては、痛みのできている箇所は絞扼されている神経支配のところにすぎないのでそこに組織の異常はありません。よって圧痛は確認できません。しかし、別問題として痛みの箇所にズパズムなどがあれば圧痛は確認できることもあります。絞扼箇所に押圧ストレスをかけることで放散痛を確認できることはよくあります。

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梨状筋症候群と関係のある神経症状をまとめました。これら症状があれば梨状筋症候群を疑い圧痛の確認やストレステストなどで可能性を検討していきます。

ここからは文献などを元に症状や他疾患との合併、テストの陽性率などを詳しく解説していきます!

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