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Palásthy György『Hi, Junior!』ハンガリー、家族と過ごす"時間"を探す旅

東欧の子供映画を観よう!企画。ハンガリーは特にジャンル映画が少ないイメージあるんだが、当然の如く子供映画も少なく、現在簡単にアクセスできるものとなるとほとんどないと言い切っても良い。"昔から長く親しまれてる"的な古典子供映画ないんすか。そんな中で発見したのが本作品である。監督のパラーシュティ・ジェルジは子供映画を多く撮った監督のようで、一部作品はソフト化もされているが、当然のように廃盤。アルバニアのジャンフィセ・ケコやリトアニアのアルーナス・ジェブリウーナスと並べて語れる監督をようやくハンガリーにも発見したのに、残念だなあと。

閑話休題、本作品はハンガリー人小説家テレク・シャーンドル(Török Sándor)による子供向け小説の映画化作品である。主人公ジュニア(6歳くらい)はバログ家の次男だが、朝から父も母も祖母も長兄(10歳くらい)も忙しそうで、誰も構ってくれない。長兄の同級生で恋人未満のアーギがやって来て、全員で朝食をとることになるなるも、新聞を読みながら周りを威圧する父親に反抗しておちょくったことで、"そこで反省してろ!"と風呂場に閉じ込められてしまう。そこで、旧知のドワーフの二人組ククイシとボボイサの助けを借りて(二人はアニメーション)、いつも忙しい家族が自分と遊んでくれるよう、"時間"を探しに旅に出る。並行して、ジュニアを探す家族たちの姿も描かれるが、ファンタジックさにピュアさを掛け合わせたジュニアの挿話に比べると、やや大げさで荒唐無稽に映る。しかも、彼らは"ジュニアを傷付けた"としてベルゲンゴーチア王国という中世風のコスチュームを着た人々に捕らえられ、ファンタジー裁判を受けるという謎展開に(ドワーフ二人組の仕える国っぽいので無関連というわけでもない)。

全体的に話が間延びしていて、せっかくの設定や技術を活かしきれていないなぁという印象を受ける。アニメーション大国というアドバンテージを活かしたアニメ×実写という組み合わせも、静止画でくっちゃべるだけなので正直アニメである意味はあまりない。中世風の王宮での裁判も、見た目は煌びやかだが、やってることは裁判なのでほぼ動きがなくて、ただの豪華なコスプレという感じ。終盤で登場する七首のドラゴンのビジュアルは良かったのでギリギリ持ち直すが、時すでに遅し。まさかとは思うが、どれも質が高くないからお蔵入り状態なの…か?

・作品データ

原題:Hahó, Öcsi!
上映時間:80分
監督:Palásthy György
製作:1971年(ハンガリー)

・評価:60点

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