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【コメディ】歌手オーディション「受付嬢は氷の女王」


ナイトスクープでは間探偵と共演して以降、

アタック25や、SASUKEオーディションには落選...

そんなぼくが次に狙うのは...!?

起死回生で売れたい26歳独身が、歌手オーディションに応募してデビューしちゃおう!という自叙伝です。



「あんたどこ行くん?みなと神戸花火大会?」


「花火に行く相手がおらん。心斎橋や」

「何しに行くん?」燻っている一人息子が気になる母。

「オーディション」

「なんのオーディション??」

「行ってくる!花火は見んから晩飯は家で食べる!」

恥ずかしくて、ぶっきらぼうに答えるバカ息子。

「歌手デビューしませんか?」と書かれたネットの無料広告に釣られて、オーディションに申し込んでいるなんて、言えやしない。



場所は御堂筋線の心斎橋。

一旦、下らせてから登らせる。

凹スタイルが心斎橋駅の魅力だ。


オーディション会場である事務所に足を踏み入れた俺を待っていたのは、女優の菜々緒を彷彿とさせる大きな瞳が特徴的な女性だった。


さらにスタイルは菜々緒以上、ノースリーブからひょっこりはんしている二の腕も妖艶な雰囲気を醸し出している。


「お名前よろしいですか?」


リトル菜々緒さん(以下、菜々緒)に尋ねられた俺は、


「喜多漠路です」ドヤ顔で答えた。

「わかりました」名簿を確認する菜々緒の顔が徐々に曇っていく。


「喜多漠路の名前は…ありませんが…」

「あ、間違えました!〇〇 〇〇です」

本名で応募していたことを忘れていたのだ。


菜々緒は、ギロッと俺を睨んだ。

蛇がマングースを睨むような目つき、少しちびってしまったかもしれない。

こんなことならパンパースを履いてくればよかった。


どうやら彼女は、アナと雪の女王のエルサとは対極をなすタイプの「氷の女王」だ。


「では、こちら用紙に必要事項を記入してください」

そう言う彼女は、やはりキレている。


「は、はい」

ヤンキーギャルに呼び出された童貞のような声を出し、渡されたアンケート用紙に必要事項を記入していく。


氏名や自己PR、夢…

一次試験に通った場合、二時試験に参加できる日付…


最も記入に悩んだのは、審査で歌うアーティスト名の欄だ。

ここは、今流行りのバンドの曲を歌った方がいいのか、それとも米津さんか、いや、あえて引退した西野かな?


しかし、もう答えは出ていた。

迷わず、

喜多漠路 ピエロ 

と記入した。


そう、既存楽曲に縛られない。自作曲での挑戦だ。



「アンケート、書きました」

氷の女王に対峙した俺は、お代官に傘連判状を提出するようにアンケートを差し出した。


目を合わせようとはせず、用紙を受け取った女王。

「では、名前をお呼びするまでお待ちください」

どうやら順番に審査に入るようだ。


だが、氷の女王は俺の容姿の内容を確認すると、刮目せよ!と言わんばかりに大きな目を見開いた。

「〇〇さん。
2枚目のアンケート用紙にも記入してください!」


ちびった。
今度は確実にちびった。

だからあれほど、パンパースを履いておけと言っておいたのに。



俺はとにかく怯えていた。

昨日はおじさんたちに囲まれて、いも焼酎に、ビールに梅酒ロックに、相当飲んだはずなのに、全く酒が残っていないのだ。
酔いが残っていれば、もう少し強気で挑めただろうに…

その辺でウォッカを飲み、いや、浴びたい。
シャワーがわりにウォッカを浴びさせてくれるところはないだろうか。



その時、ある記憶が思い出された。
俺は、この氷の女王を、大阪の歓楽街、○新地でみたことがあるのだ…

3年前、国土交通省勤務というプライドに鼻高々になっていた社会人一年目のあの日。

そこそこもらえる給料、実家暮らし、俺はこの世の春を謳歌していた。

「なあ、あのお姉ちゃん可愛くね?」

「いや、ちょっと怖いって」

怖いお水系のお姉ちゃんこそ、目の前の受付嬢さんではないのだろうか。

人違いなら処されてしまうほど失礼なので、「お久しぶりです」と言いたい気持ちを、ぐっとこらえた。



ここでオーディションの順番待ちをしているメンバーを紹介しよう。

レゲエ系ドレッド

藍井エイルみたいなショートパンツの美女

天童よしみさんみたいな天童よしみ
(つまり天童よしみ)


地方公務員っぽい男性

濃すぎる。

地方公務員がいなければあまりに濃いメンバーだ。


そんな濃いメンバーたちを呼びつけるのが、氷の受付嬢だ。

「田中さん。
先ほども説明しましたが、14-16日はお盆休みですので、二次審査の希望日としてお選びいただけません」

「はあ~~」

「あのう。候補日は9月になってもいいのですか?」

氷の女王は眉間に皺を寄せる。

「先程も説明させていただいたのですが、3週間以内の日程でご記入願います」

氷の受付嬢の怒りのボルテージは上がっていた。


ドラクエで言うならば、マヒャドを唱えまくる黒魔術師だ。

(マヒャドは消費MPが多い)


昔、ポケモンの映画で、結晶塔の帝王ENTEIというものがあったが、

俺のメモ前には、氷の受付嬢 MAHYADO がいる。



しかし、あることが気になった。

彼女に彼氏がいるとしたら、どのような彼氏なのだろうか。

これほどの美女だ彼氏がいたとしてもなんら疑問はない。


あえてのび太系と付き合って、ドSに責めているのだろうか。

いや、ゴリゴリブーメランパンツ系にたんまり甘えていたり。

それとも松岡修造のような熱い男と付き合って、心の氷を溶かしてもらっているのか、


そんな邪念ばかりが湧いてくる。


しかし、氷の女王がキレる理由も理解できるし、彼女に同情さえするのだ。

「どいつもこいつも私の説明を碌に聞かず書類に不備ばかり…」

たしかに、俺たちがちゃんと説明を聞いていないのが悪い。


氷の女王は、再度、別の人を呼びつけて、氷系の最大呪文を唱える。

「真壁さん。先ほども説明したのですが…」



感情的にはキレているが、

MP(マジックポイント)は切れてないようだ。



<後編へ続きます>


最後まで読んでいただきありがとうございました!

後半では実際のオーディション風景を紹介します^^

今後ともよろしくお願いします!


私の夢は、原作小説の映画化、そして大ヒットですが、その主題歌は自分が提供したいと思っています。小説を書き始めたのは、今年の3月からですが、歌を作り始めたのは10年前からなのです(笑)

映画化に賭ける記事はこちらです!


受付嬢シリーズ第1弾はこちらです!


ミルタンクが登場しましたが、アカネちゃんとの熱戦はこちらです!


国家公務員⇒経営者団体⇒民間企業で営業 人生は喜劇を合言葉にブログ毎日投稿 全ての経験をコメディ・ノウハウに昇華! 【野望・展望】 ワクワク・笑顔・本質の捉え方を届ける! 創作=エンタメ映画製作 お仕事改革=教育システム構築 サポートのお金は皆様を笑顔にする事業の資金にします!