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お客さまを名前で呼ぶことの是非を考えてみる

以前このマガジンで、スタッフの個人情報の取り扱いに関する記事を書きました。お客さまとコミュニケーションをとるためとはいえ、一体彼らにどこまで情報を開示してもらうのが適切なのか?という話です。

スーパーのレシートに担当者のフルネームを記載したり、居酒屋のスタッフが名札をつけることは本当に必要なのか。ネット上でもたびたび議論になる話題です。

詳しくは記事を読んでいただくとして、今日はスタッフではなくお客さまの個人情報について考えてみたいと思います。

とくに昨今、店内でお客さまの名前を呼ぶことは適切なのかどうかがときどきツイッターなどで議題にあがります。なので今日はこのことについて考えてみたいと思います。


名前を呼ばれることが嫌な人の心理

もしかしたら、店の中でお客さまの名前を呼ぶことの何が悪いの?と思う方もいるかもしれないので、まずはそもそも、名前を呼ばれることが嫌だと感じている人がなぜ嫌なのか、その理由を挙げてみます。

①個人を特定されるのが嫌

一番の理由はなんといっても、個人を特定されたくないからです。

最近は誰もがSNSをやっている時代です。名前がわかればネットで探し出すことなんて簡単にできてしまいます。珍しい苗字だとそれだけで本人特定ができてしまうことも。見知らぬ人が自分のSNSをこっそり覗きに来ていたら、どんな目的であっても気持ち悪さしかありません。ネットストーカーなどの犯罪に巻き込まれる可能性もないとも言えないです。

あるいは店内で話した内容やとった行動を名前とともにネットで晒される可能性も、ないとも限りません。仕事のユニフォームを着ていればどこの会社で勤めているのかもわかってしまいます。

仮にですけど、「〇〇で働いてる田中って奴が駅前の居酒屋で会社の悪口言ってた」みたいなことをネットに書かれてしまったら、会社は本人をすぐに特定できてしまいますよね。

こうしたことから、一部の人はお店などで名前を呼ばれるのを非常に嫌がるのです。

②とにかくイヤ、気持ち悪い

今ってとにかく個人情報に敏感な時代です。とくに具体的な理由がなくても、個人情報を表に出すことを極端に嫌う人は多くいます。

うちの長女を預けている保育園でも、ブログに子どもの写真を掲載してもいいかどうかはもちろん、関係者しか足を踏み入れない園内の掲示スペースに写真や名前を掲示してもいいか、他の保護者や保育士の見える場所にお名前シールを貼ってもいいか、みんなが読むお便りに名前を出してもいいかなど、とにかく事細かく個人情報の取り扱いに関する意向を尋ねられます。

忙しいさなか個別対応する先生方には同情しかありませんが、それぐらい現代は、個人情報を晒すことに恐怖心や気持ち悪さを感じる人が多いということなのでょう。

正直言うと私も、病院・役所・銀行などで名前を呼ばれるのはちょっと抵抗があります。具体的に何がと言われると答えられないのですが、なんとなく、誰が聞いているかわからない気持ち悪さを感じてしまうんですよね…。


③他人と関わりたくない

人と人が仲良くなるには、まずは名前を呼び合うことからなんて言われます。夜の仕事を始めたばかりの頃、何もわからない新人の私に黒服が言ったのは、まずはお客さまの名前を聞いて何回も呼ぶ、ということでした。

人は名前を何度も呼ばれると自分に好意があるものだと感じやすく、相手に対しても好感を持てるようになる傾向があるのです。

逆にいうと、他人と仲良くなりたいなんて微塵も思っていない人からしたら、名前を呼ばれてコミュニケーションを図ろうと近づいて来られるのは迷惑な話。友だちになる気も会話する気もないので、気安く呼ばないでいただけますか?という気持ちなのです。


お店で名前を呼ばれたくない人の心理はこんな感じです。ここで考えたいのは、不快に思う人がいるので名前呼びは一律禁止にしてしまえばいいのかってこと。

う〜ん、難しい問題ですが、それはそれでまた極端な対応だなと私は思うんですよね。

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