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ファンの時代〜私が沼った12人の芸術家

昨日、朝から財津和夫(チューリップ)のドキュメンタリーを見ながらFMでゲルハルト・ボッセのブランデンブルク協奏曲を聴いていた。

2人とも好きなアーティストなのだが、最近はファンと言えるアーティストが減ってしまった。
かつては大勢いたなぁと思い返していた。

今回はファンとしての思い出話。

最近は「推し」と言う人が多いのだろうが、私はこの言い方は好まない。
サブカルのジャンルならわかるけど、私は「ファン」の方がしっくりくる。

沼り(のめり込み)具合でランキングしてみた。

沼り度☆5

美輪明宏
朝比奈隆
宇野功芳
夏帆
家入レオ
古井由吉
児玉清
ロビン・ウィリアムズ
チャールズ・チャップリン
伊丹十三
蜷川幸雄
カミーユ・ピサロ

沼り度☆4

平幹二朗
内田光子
豊崎由美

沼り度☆3

手塚治虫
小林研一郎
前橋汀子
灰谷健次郎
仲代達矢
江守徹
神尾真由子
春風亭小朝
神田山陽(三代目)
市川猿之助(先代)
平野啓一郎
村上春樹
乃木坂46(1期生・2期生)
ヴァレリー・ゲルギエフ
テオ・アンゲロプロス
ガルシア=マルケス

沼り度☆2

綿矢りさ
島本理生
堀江敏幸
筒井康隆
レイフ・オヴェ・アンスネス
ラース・フォン・トリアー
Cocco
関野吉晴
土田世紀

沼り度☆1

梅若実(四世)
柳家さん喬
奥井紫麻
本谷有希子
青山七恵
川上未映子

多いのかはわからない(多ジャンルに渡ってるから多いのか?🤔)

順番に思い出を。

1.美輪明宏

紫の麗人

16歳で「黒蜥蜴」を観てハマる(もともとユニークな人だという認識があったので観に出かけた)
以来、6つ程のレパートリーはすべて観た(再演も)。
音楽会やトークショーも行ったし、本もいろいろ読んだ。
いろんな芸術が好きになったのは「人間はマルチであれ」と言うこの方のおかげ。
最近はEテレで月一の人生相談。今まで散々追っかけてきたから「たぶん本音ではこう思ってるんだろうなぁ」とうっすらわかる。
以前の人生相談はにこやかだったが、最近はそうした愛想がなくなり研ぎ澄まされてきた。

2.朝比奈隆

焼きそばを混ぜるような指揮と揶揄

美輪明宏が心の母なら、朝比奈隆は初代心の父である。
最初にハマったクラシックアーティストと言えるかもしれない。
1997年〜2001年の都内のコンサート(N響、都響、新日本フィルなどの客演、大阪フィルの東京公演)は欠かさず行った。
大阪に祖母が住んでいたので、年末のフェスティバルホールの第九を聴きたいがために帰省もしていた(もちろん祖母にも会いたかったが😅)。
ブルックナーばかり賛美される朝比奈だが、私としては恰幅のよいベートーヴェンの方が印象に残っている。
ジンマンやラトルの全集以降のベートーヴェンはこじんまりしてしまったが、朝比奈のそれはコンヴィチュニーの演奏にも似て、威風堂々で立派だった。
特に第九の分厚いハーモニーは人間讃歌を感じさせて、涙なくして聴けなかった。

3.宇野功芳

まさに「命をかけた遊び」の人生

宇野功芳にハマったのはクラシックに興味を持ち始めて『レコード芸術』を買い出して、明らかに他の執筆陣と違って異彩を放っていたから。
吉田秀和もコラムを書いてたはずなので、吉田秀和にハマれば違う人生だったはず笑
初めて行ったクラシックコンサートも宇野功芳/新星日響😅
ベト7の最後に背を向けたまま指揮棒を後ろに放り投げたこの人の「命をかけた遊び」に魅せられて、クラシックが好きになったのかもしれない。
メータや小澤を批判する一方で、珍妙な指揮を披露。
これって山本益博がオーナーシェフで店出したり、セルジオ越後が日本代表率いるようなもんだよなぁ。
やっぱ宇野さんはすごいよ😅

4.夏帆

「箱入り息子の恋」

夏帆を好きになったきっかけは何だっけ。
たぶんドラマを見ていて自然と惹かれたのだと思う。
「天然コケッコー」を始め、以前の作品まで遡って観た。
「箱入り息子の恋」はとても好き。
ただ本人は清純派美少女路線を突き進むのは嫌だったのだと思う。
「悪霊病棟」「パズル」といったホラーに挑戦した時期もあった。
「海街diary」で一気にブレイクした感がある。
「silent」は録画してあるのでゆっくり見たい。
宮藤官九郎脚本の舞台「万獣こわい」でこの人を観れたのは一生の宝。
ファンレター書いたり誕生日にプレゼント送ったりしてましたね😅

5.家入レオ

『レオのこと』

家入レオも結構ハマっていた。
プロモーションで日本各地のラジオ局に出るのだが、そのトークを聴くためにradikoのプレミアム会員になったくらいだ(あちこちの地方ラジオ局を聴きまくった)。
ちょうどガラケーをiPhoneに変えたころに、Apple musicでランキング入りしていたデビュー曲「サブリナ」を聴いて衝撃を受けた。
「尾崎豊に影響されて作詞作曲を始め、親の反対を押しきって16歳で単身上京」という半生も魅力的に感じた。
20歳のバースデーライブ含め、4回くらい生で聴いた(渋谷のゲリラライブにも参加できて、CDお渡し会でお目にかかれた)。
伸びのある歌声は一発でこの人だとわかる個性がある。
最近「サブリナ」を歌ってるのを見たが、どこか恥ずかしそうだ。15歳で書いた詞だから無理もない。
作詞作曲を離れていた時期もあったが、またシンガーソングライターとしての家入レオが見たい。

6.古井由吉

なぜノーベル賞候補に上がらない?

日本文学史における巨人、古井由吉を知ったのは福田和也の『作家の値打ち』。
彼の『仮往生伝試文』が最高点だったので興味を持って読んでみた。
それから少しずつ読み進め、蒐集癖のない私がいつしか古井由吉の初版本コレクターに。全集を除いて35冊くらいあるかな。
ただ、読んだことあるのは10冊にも満たない😅
古井由吉の小説世界は明らかに異質。小説と随筆、現実と空想、さまざまなものが混沌としている中に浮かび上がる像の美しさがあると思う。
古井さんが主宰していた新宿の文壇バー「風花」での朗読会には数回出かけた。
文芸の可能性を生涯追求した作家。ノーベル文学賞の候補にならないのはなぜだろう(翻訳至難のせい?)

7.児玉清

アタックチャーンス!だけではない

児玉清を好きになったのはNHK-BS2でやっていた(まだBSプレミアムがないころの話)「週刊ブックレビュー」。
それまでは司会者や俳優としてしか知らなかったが、稀代の読書家と知り、本の話をしているときの楽しげな様子がたまらなく好きだった。
温厚そのもので紳士然とした立ち居振る舞いから勝手に二代目心の父と思っていた。
児玉さんの本もいろいろ読んだ。『負けるのは美しく』がよかったかな。
作家たちからも愛された児玉さん。「アタック25のおじさん」としてしか知らない方は損してます😅

8.ロビン・ウィリアムズ

「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」

ロビン・ウィリアムズを好きになったきっかけは1997年に公開された「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」。
無名時代のマット・デイモンとベン・アフレックが共同執筆した脚本がオスカーを受賞して話題になっていた。
この映画の主演はマット・デイモンだが、オープニングロールではロビン・ウィリアムズの名前が一番に出てくる。
マット・デイモンは無名すぎて先頭を飾らせてもらえなかったのだろう。
この映画のナイーブな演技は「レナードの朝」でより先鋭化されているし、「ミセス・ダウト」「グッドモーニング,ベトナム」などのハイテンションの芝居はこの人の自家薬籠中のもの。
その後「パッチ・アダムス トゥルー・ストーリー」「奇蹟の輝き」「聖なる嘘つき/その名はジェイコブ」「アンドリューNDR114」「ストーカー」「インソムニア」などは劇場で観た。
旧作もいろいろ借りてみていただけに、亡くなったときはショックだった。

9.チャールズ・チャップリン

「街の灯」

チャップリンの魅力を教えられたのは中学2年のとき。
ネイティブのイギリス人の先生がチャップリンの中編映画「偽牧師」を見せてくれて、めちゃくちゃ面白かった(他の生徒の反応は忘れた)。
学校にチャップリンのビデオが全部揃っていたので、ビデオテープを持参して視聴覚室の先生に頼み込んで全部ダビングしてもらった(当時は倍速ダビングができず、2時間の作品をダビングするのに2時間かかった。先生には頭が上がらない😅)。
そのおかげもあり、10代でチャップリンの虜に。
「街の灯」のラストをハッピーエンドと捉える人とはたぶん好みが合わないです😅
「サーカス」なんて完全に恋敵応援してるじゃないですか。
「めでたしめでたし」なんて単純な世界観の作品作る人じゃないと思うけどなぁ。

10.伊丹十三

今でいう三谷幸喜?

映画の宣伝で伊丹十三ほどメディアに出る監督は珍しかっただろう。
話術も巧み。もともと人気エッセイストだから当たり前か。
生で観たのは「スーパーの女」と「マルタイの女」だが、遡って全10作観た。
中でも「タンポポ」が好きですね。センスのいいユーモアの詰め合わせ。
三谷幸喜の作品は主演を張れる豪華俳優ばかり出てくるが、伊丹映画は名バイプレーヤーがわんさか。
脇役なのに強烈な印象を残す人ばかりだ。

11.蜷川幸雄

生涯現役

蜷川幸雄は美輪明宏と同年。対談したことがあるのか知らないが、同世代を生きた演劇人同士お互いをどう思っていたのか知りたかった。
「黒蜥蜴」と同じころ藤原竜也と白石加代子の「身毒丸」が話題になって、それを観てからしばらく継続的に蜷川作品を観ていた。
シェイクスピアやチェーホフの面白さは蜷川さんに教えてもらった。
若いときはクラシックと演劇の鑑賞が2本柱でしたね。

12.カミーユ・ピサロ

この人の描く緑は絶品

アートはそんなに詳しくないが、画家でいうとカミーユ・ピサロがダントツで好き。
緑とオレンジの鮮やかさにかけては他の印象派画家とは別格の印象がある。
描いてる大半はのどかな田園や農村の風景。見ていて癒されたり、心が洗われる。
ピサロ展はなかなか日本では実現しないが、2回行ったことがある。
最近もイスラエル博物館所蔵の印象展があり、ピサロの絵画6点が初来日した。

いや〜よかったです😍


思ったより長くなっちゃいました!😅
読んでくださった方に感謝です。

ちなみにタイトルはバーンスタインの「不安の時代」から取りました。
わかった人はすごいです!笑

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