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若返りへの科学の探究

以前に、老化を防ぐ科学の話をしました。

老いのさらにもう一歩先の「若返り」についての記事を見つけました。

ようは、
古い細胞を若返らせるためにプログラムする研究に関心があつまっている、
という話です。

ここまでくると魔法ですが、タイトルのとおり「山中因子」、つまりiPS細胞を作るのはまさにそれを具現化したともいえます。

一応確認のために書いておきます。

元々受精卵を使って生まれたて、つまりどんな細胞にもなれる幹細胞が1980年代に成功し、ES細胞と名付けました。
ただ、(元々廃棄予定をつかってはいるものの)受精卵を使う縛りはあったため、より汎用化を目指して研究が進められます。
その一人である山中伸弥が、4つの遺伝子(Oct3/4, Sox2, Klf4, c-Myc)をブレンドすると同じような肝細胞が創れることを発見し、2007年には人間の皮膚細胞からiPS細胞と呼ばれることになる幹細胞の作製に成功します。

これらをリプログラミングと呼び、若返りの仕組みに応用しようとする研究が進んでいます。

以前にも、若返りとはいわないまでも、応用の研究は進み、特に「遺伝子編集」との組み合わせは過去にも取り上げました。

既にiPS細胞は角膜などでは実用されています。

他には、若返りとして期待されているのはエピゲノムです。

これを使った仕組み全体を「エピジェネティクス」と呼び、言葉の解説は過去投稿に任せます。

超ざっくりいうと、DNA内の塩基配列を有効にするスイッチで、そのオンオフを制御しようとする試みです。

エピジェネティクスは、カレンダーとしての年齢でなく、生物学的な年齢を測る時計としても使われており、「エピジェネティクス年齢」と呼ばれています。実年齢より見た目が若い方は結構みかけますが、これも関係するのかもしれません。

リプログラミングには腫瘍・ガンを誘発するリスクもあり、まだ冒頭記事だけでは明確な方法は確立していないようです。

その中で有望とされる2021年に設立されたアトラス・ラボは、ジェフ・ベゾスなど有名な投資家も出資し、この科学諮問会委員長(外部からのご意見番?)として山中氏自身も参画しています。

で、その設立のきっかけがとあるバイオテクノロジーの会議で、仕切ったのはユーリー・ミラーです。

知る人ぞ知る方で、元々は初期のFacebookへの投資などで財を成した大物投資家です。

基礎科学の発展にも貢献し、現在最も高額な科学賞となったブレークスルー賞も、ミラー氏が設立に尽力しました。

英語ですが、彼の紹介記事があったので引用しておきます。あまり表舞台では見かけませんが、ミラー氏は常に最新科学への関心を持ち、その1つは「不老不死」のようです。

ミラー氏の後援もあり、この分野が盛り上がっていくのが感じられます。

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