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野菜がない八百屋、夏の終わり

 はーいこんにちは。noteを書く度に、久しぶりになってしまう私です。お元気でしょうか。先に言ってしまうと、今回のnoteは、野菜と私を取り巻く近況報告(つまりエッセイ)と、新しいプロジェクトの匂わせです。

 さて、前回のトマトソースのレシピから少し時間が空いてしまい、気が付いたらもう夏の終わりを感じるような9月末になってしまいました。31歳女性個人的には、これまでの人生の中で一番夏を満喫した年でした。生まれて初めてビキニを着て、ひとりで海で泳ぐということを何度かしました。大体が、仕事終わりに海にふらっと寄ってのんびりと泳ぐ。自営業をしていると、やらなければならないこと、何かしらの締め切りが常にあって、気が付くといつもそこに思いを巡らせてしまいがちになります。そんな状態でずっといると、頭のキャパがどんどんちっちゃくなって、新しいアイデアなんか浮かばなくなってしまう。これではいかん、何のために私は独立したんだ、と思い、自然の中で頭をリセットするべく海で泳ぐようになりました。これが自分には合っていて、来年もまたやりたいな、夏が終わるのがなんだか名残惜しいなと、暑がり汗っかきなのに初めて感じた、そんな年でした。

人生で最も海に行った夏ももう終わり

 ところがどっこいだ。八百屋を経営する私としては、非常に困った年でした。トマト、なす、ピーマン、枝豆、とうもろこしなどの夏野菜類。初めての夏を迎えた弊社にとっては、まあまあ重要な稼ぎ時。繁忙期ってやつです。だけど蓋を開けてみたら、今年の新潟の夏は雨が全く降らなかった。野菜がたっぷりある状態なんて一瞬でした。


この夏は枝豆にたくさんお世話になりました


 多くの農家さんは「こんな年は経験したことがない」と言っていました。強い日差しのせいで野菜が焼けてしまい売り物にならない。何よりも雨が降らないというのは、農業をするうえで非常に困った問題です。人間と同じように植物を形づくる大部分は水。じゃあ水をやればいいじゃないと思うかもしれませんが、雨にはたくさんの自然の栄養が含まれています。つまり水をやるのと、雨が降るのでは、農作物への恵みがレベチってわけ。

強い陽射しを使ってドライトマトを作った

 そして秋冬の野菜を準備するのにも雨はなくてはならないものです。日照りが続いた畑はどうなっているか?土に水気がなく、カラカラガチガチの状態。つまり、耕すことができないわけです。水のない土に種をまいても芽は出ない、苗を植えても枯れてしまう。雨が降らない猛暑は、思っているよりも深刻で、秋冬の収穫にもきっと影響が出るだろうなと感じています。

 八百屋さんとしては正直しんどいですが、長い会社の歴史として考えたときに、初年度でこれを経験できて本当にラッキーだったなとも思っています。自然には適わないなと痛感しました(ここで私の思想の強さを出すとすれば、「人間は自然の一部だということを改めて知ることができた」という表現に言い換えられる)。同じように野菜が採れなくなる、つまり商品が入ってこなくなるときにどうしたらいいかの予想がつくわけです。

 お野菜がなくなってきてしんどいときに、何をするか?そんなときこそ「基本に忠実に、いつものことをしっかりとする」のと「新しいことを始める」のをしようと思いました。つまり攻め。

果物を売り始めたのも新しいことのひとつです

 私は今まで、一人でのために食事を用意する人をイメージしてサブスクのプランなどを考えていました。つまり「自炊」の視点。まずは自分の生活や体のために料理をする第一歩だと思ったからです。私は、「暮らしのために料理をする人の負担を、少しでも減らしたい」という思いで地元野菜のサブスクを作りました。ただ、そこに「自炊」はあっても、「食卓」というイメージがなかった。野菜が少ない今だからこそ、「どうすれば省エネで豊かな食卓を実現できるか」という新しい視点が出てきたのです。つまり、これは新しいことをやるぞという匂わせであり、近い未来の自分へのプレッシャーです。野菜を中心にした食事、から、「野菜を中心にした豊かな食卓」を目指して。野菜が少ない時期も、『ここのやさい』をよろしくお願いします。

野菜がある食卓はなんだかしっくりきて、豊かだ

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