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狛犬歌留多 Vol.1

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狛犬の記録をもとに寺社の名前で紡ぐいろは歌。い〜と。
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今戸神社と沖田総司

浅草駅から隅田川を北上し徒歩15分。今戸神社は浅草七福神の一つ。福禄寿が祀られている。平安末期に奥州遠征の成功を祈願して源氏が寄進したとされるが、今は桃色のノボリはためく縁結びの神社として賑わっている。 本殿の側に佇む沖田総司の終焉の碑に目が止まる。沖田は幕府に追われ浅草の医師の元、今戸神社のあたりで療養していたという。しかし、彼が葬られた記録はまだ見つかってないという。 神社の手前に控えるお約束の狛犬。今戸神社の狛犬は「特定動物🦁」扱いでゲージに入れられている。200年

六所神社

先日の観劇で、頭の中が鎌倉モードになっていたが、狛犬探索に出かけると、少し未来の江戸あたりに引き戻される。三州岡崎の六所神社の由緒を読むと、寛永十一年に造営とのこと。この年もいろいろな出来事があったようで、興味深い。 川を渡るとすぐ国道一号だ。道沿いの一角にある広告スペースのほぼ全面(だったと思う)にYoutuberが開いたカフェの巨大な看板が立っている。けっこうスピードを出していても視認できるぐらいの大きさ。北関東のイオンの看板ぐらいあるんじゃないかしら。だいたいの聖地はそ

聖地巡礼 第三新東京市と箱根神社

シン・エヴァンゲリオンが劇場公開中。エヴァンゲリオン は一つの信仰だと思う。どれほどの歌や作品が捧げられてきたか。そして宇多田ヒカルの歌をこんな形で聞けるとは、長生きしてみるものである。 劇場もパリも宇部も今はお預けだけど、第三新東京市こと箱根を。 小田原駅からバスで20分で箱根湯本に。グッズ売り場のエヴァ屋がある。箱根湯本からさらにバスに乗り換え40分。エヴァンゲリオン の戦いの舞台になった仙石高原に着く。小鳥がさえずり、強い風が青ススキの草原を渡っていく。 仙石高原

ある日の記憶 静かな湖訪ね 中禅寺と日光二荒(ふたら)山神社中宮祠

追憶なのか思慕なのか。山合に眠る湖に焦がれる。デビット・ソローのウォールデン湖のような。ゴシック建築の列柱を思わせる杉の日光例幣使街道を抜け、いろは坂。あるはずのない”中禅寺物語”の聖地、中禅寺へ。 カーブごとに「い、ろ、は・・・」と看板が設置されており、いろは坂の由来を知る。48のヘアピンカーブ。上りと下りそれぞれ専用に山道が整備されている。木には猿、「エンジンブレーキ使用」の立て看板、アスファルトにブラックマーク。イニシャルDの気分を堪能。 たどり着いた中禅寺湖は、少

雪中四友 蝋梅の宝登山神社

冬のアルプスは敷居が高いがインドアにも飽きた向きは長瀞アルプスなどいかがだろう。冬枯れた野原を駆け抜け池袋から電車で2時間。レトロで可愛い駅舎に鄙びた街並み。美味しいお蕎麦屋さんもある。 長瀞の由来となった滔々と流れる荒川は青々とガラスのように美しく、河原に広がる岩畳は地質学的にも珍しく明治時代から著名な研究者から宮沢賢治まで様々な人々を惹きつけてきた。コタツ舟という冬ならではの酔狂な遊びも楽しめる。 荒川を背に大通りを歩いていくと宝登山の石畳の参道に行き当たる。宝登山神社

麗しの房州紀行 平群天神社

宣言延長。深夜のデニーズ に入ろうにも入れない。村上春樹の小説「アフターダーク」を真似しようとして失敗。カーティスフラーの代表作「five spot after dark」をかけながら薄明の中、車を走らせる。 すっかり日の昇ったマザー牧場ではネモフィラやラベンダーが咲き乱れ、 子羊たちは母羊と一緒にまどろみ 牧歌的すぎてヨーデルが聞こえてくる。天国もこんな風だったら良いと思う。 アスファルトの上で団欒を楽しむ猿。車が来てもおかまいなし。 今回の目的地は伊予ヶ岳の麓に

天岩戸伝説 戸隠神社行

いつぞや銀座で出し物を見た。外国の人のパーティーの座興でバーレスクが披露された後、身長180cmの制服に身を包んだ男性が車座に進みでた。ベネチアンマスクに金髪角刈り。ステップを踏みながら彼はジャケットを脱いだ。続いてシャツのボタンを一つずつ外し、シックスパックの白い体がダークライトに浮かぶ。音楽に合わせボディービルダーのポーズをとりながら、ズボンのベルトに手が伸びる。場が一瞬で熱を帯びた。彼はベルトを放り上げズボンを脱ぐ。身につけているのはボクサーパンツ一枚。踊りながらついに