オオカミ少女_004

オオカミ少女はどこへ行く  其の二


さて、ミュンヒの少女ですが、わたしはよくわかりませんが、

アメリカ人とのハーフクオーターという、1/6?の血が
混ざってるそうです。

それも本当かわかりませんが。

で、ある日また電話がかかってきて、

「妊娠したから、旦那とひいおばあちゃんのアメリカの家に住む」

という、またまたトリッキーな嘘を思いついたもんだと思いました。



しかし、当時はアメリカでリーマンショックが起こっていまして、

《旦那働き口なんかないんじゃないの?》

という疑問が…

まあ他にも突っ込みどころは満載なのですが。

アメリカに行くということは、もう二度と連絡してこない、会わない
ということ。

それは彼女なりの「さよなら」の儀式なんだと思うことにしました。

なので、最後に一度だけ会うことになりました。

しかし、その前にもう一人犠牲者がっ。

入院中の喫煙仲間の女の子もこの嘘の舞台に招待されていました…


もう既にその女の子とは会っていて、「結婚祝いももらった」というではないですか。

その子は純真無垢で、ミュンヒの少女がまさか嘘をついてるとは知らないため、快く応じて会ってくれたとのこと。

なむー。

で、わたしもミュンヒの少女と会う日がやって来ました。

妊娠しているとの「設定」なので、彼女はタバコが吸えず(本来は喫煙者)、駅近くの喫茶店の禁煙コーナーでお茶をすることになりました。

*当時はまだ分煙の喫茶店でした。

*ちなみにわたしは現在非喫煙者になりました。

わたしはたまに喫煙コーナーに行ってタバコを吸っていたのですが、
彼女も吸いたそうな素振りをしていましたが無視していました。
「フリ」も大変ですよね…

わたしはプレゼントを用意する暇がなかったので、お茶の後、駅に隣接している商業施設で、5千円以下で欲しいものを買ってあげることにしました。

彼女は洋服を欲しがったけれど、それはNGにしました。


「記念になるような物を」

とわたしが言ったので、、

彼女はいろいろ迷ったすえに、小さな木製のオルゴールをチョイスしました。


「じゃあ、元気な赤ちゃん産んでね」

とバス停でお別れをしました。

《これでやっと解放されたー!》

とわたしは思いながら、軽やかな足取りで家路にかえりました。


…それから数日後、彼女から夜に電話がきました。

少女   「いまからフライトなんだ」

わたし  「そう、気をつけて行ってね」

少女   「じゃあバイバイ!」


断定いたしますが、これは全て彼女の妄想、嘘、演技なのです。

ところで、何故わたしが騙された「フリ」をするのか。

わたしはそんな風になってしまった彼女の将来を憂い、憐れに思い、

「この少女の嘘につきあってあげよう」

と出会った時に決めたのです。

しかし、所詮は偽善、わたしの自己満足。

彼女の「偽り」の舞台に一緒に立つことに、わたしはそろそろ限界を感じていました。


この話、もうちょこっとだけ続きます。

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