世の中のレシピのデザインを見ていて思うのは、一つ一つの工程の文章がだらだら続くので読む気が失せるということ。
具体的にどのレシピと名指ししませんが、ネットで”レシピ”と検索すれば「だらだら書き文章レシピ」はすぐ見つかります。

正直に言って、私にとって料理は面倒くさいので、「やるぞ！」と気合を入れないといけないものなのです。
料理をいざ作ろうと思い、レシピを見たときに「めんどくさっ」と感じてしまったら、もうそこで料理を作る気持ちはがた落ちです。

用意するものややることが簡潔に書いてあり、感覚的に「このレシピならめんどくさくなさそうだ」と分かるデザインが、私のようなめんどくさがりさんに必要なのです。

そんな超絶めんどくさがりで、日々森羅万象めんどくさいと感じてる私がデザインした「究極にこだわったレシピのデザイン」のこだわりポイントを紹介します。

レシピの「必須食材」と「あった方がいい食材」の表記を分ける

例えば肉じゃがの絹さや。
あれは肉じゃがに色どりを添えるためのもので、絹さやはなくても肉じゃがは十分美味しいですよね。つまり、「あった方がいいけどなくてもいい食材」です。
おもてなしする時やInstagramに載せてドヤりたい時、絹さやをポリポリするのが好きな人は入れればいいですが、そうではない人にとっては不要です。

そういった、必要最低限必要な「必須食材」と、彩りや風味のために「あった方がいい食材」を分けることによって、普段は必要最低限な食材だけ買おうとか、今日は彩りが欲しいから食材を足そうとか、直感的に「食材の選択」ができます。

事前にできる下準備がどこまでか分かりやすくする

料理は大きく分けて、先にやっておける「下準備」の工程と、仕上げる「調理」の工程があります。

みんな料理以外にやらなくてはいけないことや予定はいっぱいありますから、いつも下準備から調理まで全部済ませる時間があるとは限りませんよね。
先にした準備だけ済ませておいて、あとは調理するだけの状態にしておけば効率的ですし、用意してある分気持ちも楽になって余裕持てるじゃないですか。

そのために、レシピを一目見るだけでどこまでが下準備可能なのかわかるようにしました。
いちいち「このレシピはここまでは下準備やっておけるね」と頭で考えなくても、ぱっとわかるので判断するまでの時間が短縮できるわけです。

何度も繰り返すようにわたしは生粋のめんどくさがりなので、できることなら何も考えたくありませんし何も時間かけたくありません。
パッと見てパッとわかるような記載こそストレスフリーなデザインだと思うのです。

作り方の中に調味料の分量を書いておく

一般的に、材料の表記には調味料の分量書いてありますけど、作り方には書いてないですよね。分量確認するときにわざわざ目を往復しないと確認できないのって、めんどくさくないですか？他の人が何と言おうと私はめんどくさいです。

材料を用意するときは材料の表記だけ見れば完結するように、作り方の表記だけ見れば調理が完結するように、作り方の中に分量を書いておくのです。

全部箇条書きにする

じゃがいもは乱切りにし、しらたきはゆでて一口大に切り、玉ねぎはくし切りにし、豚肉は一口大に切る……なんでこう文章にしたがるんですかね、レシピって。
もはや助詞も可能な限り切り捨てて、すべて極力簡潔に書いてほしいです。
だってレシピ見てる時は、文章読みたいのではなく料理が作りたいだけなんですから。
レシピに載せる文字はなるべく必要最低限、これを心がけています。

時間がかかるタイミングを可視化する

レシピ見てどの工程に時間がかかるかって最初からわかっていれば、「ここで20分蒸し時間発生するからその間に炒め物作っちゃおうかな」とか、頭の中で作戦立てられるかなって思ったんですよね。
1品だけ作るにしてもどこで時間かかるかってあらかじめ知っておきたいし。
茹でる時や水につける時、炊く時など時間がかかるタイミングがどこか分かるようにしました。

心や体を健やかにするレシピデザイン

他にも火加減や時間は太字にしてパッと目に入るようにするとか、レシピが簡単に見えるようになるべく漢字を使わないようにしているとか、献立を作りやすいようにしているとか、極限まで「ぱっと見でわかる」ことにより、効率的に料理を作れるようにすること、料理へのハードルを下げることにこだわっています。

私のやっていることはたかだか紙切れ一枚を作っているにすぎない。でも、この紙切れ一枚によって料理をする回数が増えて食事が豊かになったり、効率的に料理できることによって料理以外のことに使える時間が増えたりして、少しでも世の中の人たちの体も心も健康にできたらいいな。そう思うとレシピひとつのデザインにもまったく手が抜けないわけです。