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【高齢者心理の探り方】〜救急車を拒否する理由

こんにちは。
音楽家のこうたろうです。

本日は買い物の帰りに道端で倒れている高齢者を発見。
その時の様子含め、社会の問題点をシェアしたいと思います。

道端で倒れていた高齢者

買い物カートが少し離れたところ、そして買い物袋を下敷きに完全に倒れている。

見通しの良い道だったのもあり、少し離れた場所から『大丈夫ですか』と駆け寄ると、『こけたん』と答える。

意識はしっかりしているが額から血が流れており、頭を打っている模様。
急いで救急車を呼ぼうとすると『やめて、やめておいて、もう立てるからちょっと待って』と言われる。

この時点でかなり意識ははっきりしていることを確認したので、引き続き動かさずに『家はどのあたりか、家族は、年齢は?』と質問すると、『家はすぐそこで、家族がいる』と答える。

そしたら呼んでくるから待っててというと『一人暮らし』だと答えるおばあさん。

年齢も最初は95歳だといっていたが、すぐに85歳だと言い直す。

やはり呼ぶ必要があると判断したため、説得するも『絶対にいや、もうそんなん死んだ方がいい』というので、ちょっと在宅介護での認知症介護の経験を活かしてみた。

拒否する理由を探る

そこまで拒否するには必ず理由があります。
特に認知症が出ている場合は理由を説明できるはずもありませんので、探り出していくことが大切。

『デイサービスはいきよるん?』
『行ってるよ』
『週何回?2回くらい?』
『1回やん!そんな何回もいきよったら年金足りへんわ』

買い物に一人でいけている+このやりとりで、要支援の可能性もある要介護1くらいだとわかる。

年金足りへんわの一言で、『頭打ってるからちゃんとみてもらわなあかんで』から対応を180度変えてみました。
『救急車タダやで!使わな損やで!』『ただで包帯巻いてくれて、椅子で休めるわ!(ずっと椅子がほしいといったいた)』来てもらおう。

戦略に変えると、見事にヒット。

『ほんまに?座れるのん?』

と一変し、無事に救急隊に引き継ぐことができました。

社会的な問題点を考える

ここで大きな問題だと感じたところ。

それは、このおばあさんはどれくらいの間道端で倒れていたのか?

買い物カートと下敷きになっている買い物袋。

直射日光があたる場所で倒れていたため、正確な時間は推測できないが、袋を触った感じから、かなりの時間が経過しているように感じられた。

問題は筆者が少し離れた場所から駆け寄るもその間に2台の車が避けるように通り過ぎていった点。

別に『助けろよ』とは言わない。

しかし、かなりの時間が経過していることを推察するのに加えてこのわずか駆け寄る短時間の間にも2台の車が通過していることを考えると、特別田舎町というわけでもない筆者の町で、かなりの人目にスルーされていたのだと想像できる。

確かに車の場合、すぐに停車して、駆け寄って救急車を呼ぶとなると、周りからは『人身事故』に見えて、面倒に巻き込まれそうな匂いがプンプンする。

おそらく救急隊が到着したとて、すぐに引き継ぐことは難しく詳しく事情を聞かれるだろう。

ただし、人の命よりも優先するべき用事がこの世にあるのだろうか。
倒れて動けない人がいる。
血が流れている。
この状況をみてスルーできる人の心理はどうなっているのだろうか。

実はこれは社会心理の影響だったのです。

傍観者効果の罠

傍観者効果とはとてつもなく簡単にいうと、『誰かがやるだろう』という心理が軸になる心理効果のこと。

集団であれば集団であるほど発生します。

有名な事例としてはキティ・ジェノヴィーズ事件がある。

1964年3月13日にアメリカ合衆国ニューヨーク州クイーンズ郡キュー・ガーデン地区で発生した殺人事件である。
この地区に住むキティ (Kitty) ことキャスリーン・ジェノヴィーズ (Catherine Genovese) が、帰宅途中にキューガーデン駅の近くで暴漢ウィンストン・モーズリー (Winston Moseley) に殺害された事件であり、ニューヨーク・タイムズは「ジェノヴィーズは大声で助けを求めたが、近所の住人は誰ひとり警察に通報しなかった」と報じた。
この事件がきっかけとなり、傍観者効果が提唱された。

引用:Wikipedia

実に38人もの目撃者がいたにも関わらず誰も助けようとしなかったことに加えて、通報すらされなかったという事件です。

この事件をきっかけに傍観者効果は世間から注目を集めました。

この傍観者効果を実際に起こっている現場を体験できたことは貴重な体験だったんじゃないかと思っているわけです。

女性に対するAED

女性に対するAED問題とは少し前にTwitterでも話題になっていました。

この場合は傍観者効果に加えてさらに、訴訟リスクを抱えることになるということで、もうどうすればいいんだ!?って話。

社会全体がややこしそうなことに巻き込まれそうならほっといたほうがいいという風潮が蔓延しているのかもしれません。

確かに訴訟されるリスクは男性からするとかなり面倒ではありますが、傍観者になるのではなく、その場で手伝ってくれる女性を探すくらいのことはできるんじゃないかと思うわけです。

まとめ:日常の認知症介護でも

今回のように何かを拒否する理由というのは、問いかけを繰り返せば必ず見えてきます。

日常の認知症介護でも同じこと。

  • お風呂に入りたくない

  • ご飯食べたくない

  • 薬飲みたくない

日常的に拒否する場面はかなりあります。

でも必ず何らかの理由があるはず。

常に創造性を持って接することで理由は読み解けることが多いです。

みなさんも高齢者に拒否されることがあった場合は、自分で説明できないことも多いので是非想像してあげてほしいと思います。

そして、大切なこと。
今自分は傍観者効果の罠にはまっていないかチェックしてください。
筆者も、発見したときにまず頭を過ったのは『あっ、これ誰も助けてないの傍観者効果だな』でした。
こういった心理学系の罠は自分では気が付かないところで発動します。
それは待ったなしのロジックで発動します。
待ったなしで発動するから社会は回るのです。
自分だけはかからないといった過信はなくしましょう。

傍観者効果を覚えておくことによって有事の際に素早く行動に移すことができます。

チラッと見えたおばあさんの買い物袋の中身は、サニーレタスにトマト。
今日は美味しいサラダでも作る予定だったんでしょう。

簡単な手当だけで帰れることを願っています。

では。