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足長パーセントという概念をみんなで分かち合ったとき


「足長パーセント」という言葉をご存知だろうか。

字面をみたら、足が長いかどうかのことかなって予想はつくと思うのだけれど。この言葉は私が在籍していた高校1年生のときのクラスで発案された言葉だ。
知っているということであれば、私の同級生ということになるのか…。その場合、かなり恥ずかしいのだけど、そんなこともあったなって思い出してくれたら嬉しいな。


私は都内の進学校と言われる高校に進学した。表参道や渋谷まで歩いて行ける立地の良さや自由な校風から人気が高かったのに、陰キャの私が何を血迷ったか志望して、ちゃっかり入学してしまった。
入学したての頃は、陽キャな人が明らかに目立っていて、「あ~こんなに明るいのに勉強もできちゃうんだよな~」と妬ましく遠い目で見ていた。

そんな中、入学してだいぶ初期のころ「足長パーセント」は誕生した。身体測定の日だ。

私が高校1年生のときは、身体測定で身長・体重のほか座高も測っていた。現代において座高を測る目的はずっとわからないままだったのだけれど。

座高は高ければ高いほど、足が短いということになる。小学生のときにそのしくみに気づいた私は、身長のわりに自分の足が短いことを知ってしまった。だから、座高は測定されるのが一番嫌な項目だったのだ。

各自が身体測定を終え、ホームルームの時間だったと思う。あるクラスメイトが自分の「足長パーセント」を後ろの黒板に書きだした。

「足長パーセント」とは、身長に対して足の長さが占める割合をパーセンテージにして表したもの。
数式にすると【(1ー座高/身長)×100】だ。

この数式も黒板に書かれていたと記憶している。

そして、沸き起こる笑い。クラスメイトが足長パーセントを各自計算して、黒板に書き込んでいくではないか!

みんなが自然とひとつの話題で盛り上がっていく雰囲気があり、私ももれなく書いた。自分は短足だと気にしていたのにもかかわらず、だ。

このとき、私はかなり感動したことを強烈に覚えている。

なぜなら、自分の中にあったなんとなく「座高と足の長さの関係性」を、みんなが共通でわかる数式に完全に落とし込んでいたから。

自分だけでなく、みんながどこかで「座高と足の長さの関係性」を意識していたことがわかったから。

「座高と足の長さの関係性」という概念に、納得感のある新しい名前が付いたから。

そして何より、「足長パーセント」でクラスメイトが笑いながら楽しんでいたから。



中学生だったら、座高関連の話題でこんなにも盛り上がれただろうか。このとき私は、心の底からこの学校に入って良かったと感じたし、これまで勉強してきたことが報われた気がした。

よく言われることだが、勉強をする目的は、偏差値を上げて良い大学や良い企業に入ることだと思っていた。しかし、それだけではない。

勉強をすれば、いろんな概念を面白く共有しあえるし、笑えるポイントが増える。そして、それらは人生を豊かにするものだとハッとした瞬間だった。


結局、私の足長パーセントはクラスメイトの中でも下位に入っていたことが判明。中央値や平均値も計算されていたが、その数字と照らし合わせると気にするほどの差がないこともわかった。数学ってくよくよしないために必要なのか!

足長パーセントのトップも最下位も男の子だったのだが、自身の結果を笑い飛ばしていたから、それは良かったと思っている。

トップの男の子は足長パーセントが49%以上という結果。体の約半分が足ということになるが、見た目上も数字をちゃんと表した足の長さをしていて納得したし、感嘆した。本当に長かった!

その男の子は、のちにとてもわかりやすくあだ名を付けられる。
「足長おじさん」と。











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