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横断歩道歩くとき

東京の横断歩道。
ただの横断歩道。それが多い。
でも、それ以外も多い。まっすぐの横断歩道と斜めの横断歩道が交わる。
スクランブル交差点。

なんでこんなにスクランブル交差点が多いんだろうと思った。
でも、そんなに多いんだろうか。
それはその交差点に行き交う人があまりにも多いから、だからじゃないか。
青信号になって、交差点を進む。
ただ進んでいるだけなのに、人とぶつかりそうになる。
避けようとして、人にぶつかりそうになる。
向こうから歩いてくる人と鉢合わせしそうになって、
右に避けようとする。歩いてくる人も右に避けようとする。
ぶつかりそうになって、お互い顔を見る。
すみません、言いながらぶつからないように避けて進む。
そうしたら、また向こうから歩いてくる人とぶつかりそうになる。
今度は避けて、何事もなく進むことができた。

ただ行きたいところに行きたいと思って歩いているだけなのに、
東京ではそれが難しいのかもしれないと思った。
私はそこに行きたい。
そう思う人があまりにも多い。人当たりがするほどに。

ここ2年ほど、街に人がいないことに慣れきっていた東京で、
それまでの、人の多すぎる東京に触れて、彼女は辟易した。

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