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お花見を待つ 早春賦

今朝も、みぞれのような雪が降っていましたが、
昼前に上がりました。

「すこーし、明るくなった気がするよ。」
こざるちゃんは、昼下がりの空を見て言います。

まだ曇っていますが、こざるちゃんは、
毛糸の帽子とマフラーをして、ちょっと外に出てみます。

「寒い、寒い」
今日も、気温は低くて、かなり冷えています。

「あ!」
こざるちゃんが何か見つけたようです。

「カメラ、カメラ」
こざるちゃんは、カフェに戻って、
カメラを持って、また外に出ます。

こざるちゃんは、すぐそばの桜並木のところに来て、
嬉しそうに見上げます。
桜の蕾が、少し育っているようです。

「ちゃんと春の準備をしているんだねー。」
こざるちゃんは、桜に言います。
「こんなに寒い毎日なのに、偉いなぁ。」

こざるちゃんは、パシャ、パシャと、写真を撮ります。
りこちゃんに見せてあげるのです。

そして、おやつの時間、
こざるちゃんは、りこちゃんの部屋にやって来ます。

「りこちゃーん、おやつ、持ってきたよー。」

「こざるちゃん、ありがとう。」
りこちゃんは、今日のおやつは何だろうと、
こざるちゃんが持ってきたトレーを見ます。

「今日も寒いから、おやつは、温かいプリンだよ。」
こざるちゃんは、温かい素朴なプリンを
テーブルに置きます。

「りこちゃん、紅茶、熱いから気をつけてね。」
「うん。ありがとう、こざるちゃん。」

二人は、ニコニコして、「いただきます。」

「りこちゃん、美味しいねー。」
「うん。美味しいねー。」
プリンも、昔からあるおやつです。
シンプルで 素朴な味わいが、とても懐かしく感じます。

食べ終わると、こざるちゃんは、さっき撮った写真を
りこちゃんに見せます。

「りこちゃん、これ、そこの桜並木で さっき撮ったんだよ。」
「あら、そうなの。」
「うん。ほら、蕾がちゃんと育っているんだよ。」
「あらー。」
りこちゃんは、じっと見ています。

「まだ寒いけれど、もう少ししたら桜が咲くから、
そうしたら、また皆で お花見しようね。」
りこちゃんの顔が、ぱーっと明るくなります。
「うん、お花見しようね。」
お花見が大好きな りこちゃんは、とても嬉しそうです。

ラジオからは、りこちゃんの大好きな歌が聴こえてきます。
「春は名のみの 風の寒さや  谷のうぐいす 歌は思えど」

早春賦です。
こざるちゃんも、一緒に歌います。
「時にあらずと 声もたてず」

りこちゃんも、一緒に歌います。
「時にあらずと 声もたてず」

りこちゃんは、昔、覚えて歌っていた歌は、
ちゃんと口をついて出てきて歌えるのです。

二人とも とっても嬉しそうです。

こざるカフェは、今日もゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
この先も まだ寒い日も多いと思いますが、
少しずつ春になっていくのですね。
よい毎日でありますように (^_^)


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