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ビルの狭間のスタバ、それぞれのお花見

「りこちゃーん、おやつだよー。」
こざるちゃんが おやつを持って、りこちゃんの部屋にやって来ました。

「…… あら、こざるちゃん。」
りこちゃんは、気持ち良さそうに ウトウトしていたようですが、
こざるちゃんの "おやつ"という声に 反応して、
パッチリと目を開けて、にっこりします。

「今日は、スタバのスコーンだよ。
ストロベリーチーズケーキのスコーンなんだ。」
「まぁ、美味しそうだねー。」
りこちゃんは、こざるちゃんが持って来たスコーンを見て嬉しそうです。

「ランチを食べに来てくれたお姉さんが、どうぞって くれたんだよ。」
「あら、そうなの。ありがたいねぇ。」

お昼に 来てくれた常連のお姉さんが、
「私、今朝、寝坊しちゃったのよー。
それで慌てて出て来て、スタバに寄って朝食を買ったんだけど、
ちょっと多過ぎちゃって、食べきれなかったの。
だから このスコーン、どうぞ。」
そう言って、こざる達にくれたのです。

「りこちゃん、このスコーン、大きいから 半分こしようね。」
「うん、そうしよう。」

こざるちゃんは、スコーンを半分にして、
ミルクティーを淹れます。

「はい、どうぞ。」
「ありがとう。」

二人は、しばらくスコーンを眺めます。
そして「いただきまーす!」

「美味しいねぇ、こざるちゃん。」
「うん、すごく美味しいねー。」
美味しいものを食べると、笑顔になります。

こざるちゃんは、以前、皆で東京駅の近くの
スターバックスに行った時のことを思い出しています。
ちょうど今ぐらいの時期、桜が咲く時期でした。

東京駅周辺は、大都会で、人もたくさんいて賑わっていました。
お昼の1時を過ぎた頃で、皆、お腹が空いていたのですが、
どこのお店に入ったらいいか わからないまま 歩いていたら、
ビルの狭間の通りに スターバックスがありました。

「あ! ちょうど席も空いているから、ここにしようよ。」
そう言って、皆で、わいわい、スタバに入ったのです。
そして、あれがいいかな? それとも、こっちにしようかな?と、
あーでもない、こーでもないと言いながら注文をして、
よっこいしょ、と 席に着きました。

「あ! 桜だ!」
東京駅のすぐそばで、ビルがたくさん並んでいる この通りにも
桜並木がありました。
スタバのテラス席は、絶好のお花見の場所でした。
「わぁ、綺麗だねー。」
「いいねぇー。」
皆で お花見をしながら、美味しいランチを食べたのでした。

周りを見ると、会社員のお客さんが多いようで、
1人で、静かに、思い思いにお昼を食べているようです。
食べながら、書類を見たり、また本を読んでいる人もいます。
ぼーっと桜を見上げて、ゆっくりコーヒーを飲んでいる人もいます。
このビルの狭間のスターバックスは、緊張を強いられる職場から抜け出してホッとできる憩いの場所なのでしょう。
こうして、1人でホッとできる空間は、大切ですよね。

りこちゃんも、こざる達も、
それぞれ 皆、頑張っているんだなと思いました。

「りこちゃん、あの東京駅のところのスタバで
お花見ランチしたの、楽しかったねー。」
「うん。」
りこちゃんも、にこにこ嬉しそうです。

「りこちゃん、桜の頃って、たくさん思い出があるね。」
「そうね、いいわよね。」
りこちゃんも、にっこりしています。


今日も こざるカフェでは、ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
4月7日のnoteに書いた、
ココ・シャネルとモンブランのように、
1人で過ごす大切なひとときが 誰にでもあるのだと思います。
よい毎日でありますように (^_^)

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