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最強が最高ではない-戦略とは「戦い」を「略す」ことである

-将棋ウォーズ-
日本将棋連盟公認であり、アプリ中の段級位のうち5級〜六段を日本将棋連盟に公認段級位として免状申請できるサービスを開始
従来の将棋アプリの常識を覆す派手な演出、グラフィックとAIを駆使し、超初心者から上級者まですぐに適切な相手が見つかる充実のオンライン対局を提供するサービス

かれこれ5年以上愛好しており、上記記載の段位級免状も頂いた
定額課金しているため24時間指し放題、特に月1回のプロとの対局や深夜帯の猛者との対局は血が滾るものがあり、日夜熱戦が繰り広げられている

将棋とは常に無限の可能性を追求し続ける戦いである

チェスとの最大の違いに、取った駒を利用できるという事も相まって指し手の可能性は無限大にある
(諸説あるが、駒の再利用は捕虜の扱いによる違いと云われており、限られた人口しかいない島国日本では敵であっても捕虜を家臣として取り立てていた事から将棋の駒も再利用できるようになったらしい)

よって正攻法であっても、常に複数先の手を読みながら機先を制しつつ、攻め時とリスクを秤にかけて勝負を仕掛ける事が求められる

また、もうひとつ重要な視点として、将棋の駒は役割分担が明確であり、個の最大化が組織の最大化になるという事だ

確かに飛車や角行は強力なSpecial Oneであり、代わりが利きにくい駒であるもの、勝利するための武器や手段でしかない
実力の違いが一定あれば飛車角落ちしてでも勝ててしまう

あくまでOnly Oneであり絶対に代替できない王将を取り合う勝負であるため、いくら飛車角が縦横無尽に活躍しようとも、王を取られては敗北してしまうのだ

最強が最高ではない

たとえ強力な飛車角を失っても、勝てるのが将棋の面白いところだ
場合によっては敢えて犠牲にする事で勝利に近づく事が多々ある

常に手元に強力かつ最適手な手駒が揃っている事はなかなかない
大切なのは今ある手駒で如何に勝ちきれるかどうかである

スポーツ等でもGiant Killing(大番狂わせ)が起きるのはまさに最強が最高ではない事を示している
EURO2004のギリシャ代表やラグビーワールドカップ2015、2019の日本代表など最たる例だ
野球でもエースで四番ばかりが揃ったチームが毎年優勝できるわけではなく、真剣勝負の中でまさに『采配の妙』が味わえる
油断でも慢心でもなく、一瞬の気の緩みに勝機は見い出せるのだ

よく『至弱の強』と称されるが、これは企業や組織においても同様の事が言えるだろう

スタートアップや新規事業立ち上げなどでもよく話に出るが、エースや四番といった最強のメンバーを揃えることは非常に難しい

既存の組織であってもフェーズの変化などによってベストではなくベターな配置になる事もある
または、思い描いた成果が出ない時に、強力なメンバーがいない事を理由に挙げる方もいるだろう

だが、限られたリソースで成果を出していかなければ、強力な武器や便利なツールの確保はもちろん、ましてやイノベーションなどは奇跡的な確率でしか起こり得ない

如何に現在手元にあるリソースで成果を最大化するためには、明確なビジョン(指針、目標)は大前提として、単に状況を覆すだけではなく、再現性があり確固たる『戦略』が必要不可欠である

戦略とは「戦い」を「略す」という事である

戦力(リソース)差を埋めるためには、如何に無駄を省いてショートカットし、選択と集中するポイントを明確にして資源を集中投下させる判断をする事が求められる

孫武の『孫子』やマキャベリの『君主論』『戦略論』、クラウゼヴィッツの『戦争論』など、未だに兵法や戦争哲学が事業戦略やマネジメント本などのビジネス書として活用されているのは、戦略に求められている要素は普遍的であり、戦争からビジネスに変化しても本質は変わらない事を示している

企業における経営戦略や企画職、コンサルタント等の役割は、現代における『軍師』である

軍師の役割は、如何に強大な敵を討ち滅ぼすか(売上向上や課題解決)が目的ではない
如何に国家(企業)に利や富をもたらし繁栄させ、理想とする状態像(理念・ビジョン)を実現できるかが目的である

理想とする状態像を実現するために、いま手元にあるリソースを最大化させ、リスク管理をしながら緻密な戦略を練り込み、Build & ScrapやTry & Errorを繰り返しながら履行していかなければならない
スタートアップや新規事業であれば尚更である

蛇足になるが、戦略もグローバルかつ多様化し続けており、可能性や要素が無限大に拡がっているため、的確な判断が難しくなる一方である

今回のコロナ禍による影響は回避不能要因だとしても、すぐに戦略を描き直し如何に行動できるかで大きな違いが生じている

まさに将棋と同様、常に無限の可能性を追求し続ける戦いに臨まなければならないのだ

常に最強の一手を狙いながらもクリティカルリスクを回避し、『最適手』を採っていかなければならない

是非に及ばず、然もありなん

いま採っている行動や思考が『最適手』であるか否か、常に問い続けて参りたいものだ


参照備考:戦略を実行する上でカルチャーも重要な要素である


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