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クリスチャン・ボルタンスキー の逝去に寄せて。

2021年7月14日、現在美術家のクリスチャン・ボルタンスキーが逝去されたというニュースが駆け巡った。76歳だったそうだ。

2019年には、日本での過去最大規模となる回顧展として、大阪の国立国際美術館から、東京は国立新美術館へと巡回。その同時期に、エスパス ルイ・ヴィトン東京でも映像作品が展示された。

その時の感想をSNSから抜粋する形にはなるが、ここに記録したい。

追悼の形として、ご冥福をお祈りいたします。

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クリスチャン・ボルタンスキー 「Lifetime」
会期:2019年6月12日~9月2日
会場:国立新美術館 企画展示室2E

クリスチャン・ボルタンスキーの今回の回顧展の印象は、自分の人生を持ってして作られた、己も他者も含めた大きな「墓」だった。

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しかし弔いに近い感情を抱くよりも先に、名前もストーリーも明かされない無数の死者の表情を祭壇に見立て飾る事や、新聞などでの死者の死亡告知の収集作業、自らの作業場を10年近く監視カメラに収め、その映像をリアルタイムでMOMAに送り続けるなど、彼のアーティストとしての偏執的な部分と、それでいて何か「編集者」的なものを強く感じた。

そして、それは決して「難解」ではなかった。

しかし、彼は常に「孤独」を背負っているだろうという、これもまた強い感覚が確かに残った。

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クリスチャン・ボルタンスキー「アニミタスⅡ」
会期:2019年6月13日~11月17日
会場:エスパス ルイ・ヴィトン東京

落ちていく夕焼けの中で、ボルタンスキーの映像を観てきた。

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これは新美の展覧会でも一番好きな作品だった「アニミタス」シリーズ。

澄んだ無数の風鈴の音と、夏の蝉の声が交差する間に座り込んでしまえば、もう動けなくなってしまうような、この部屋を出る意味が分からなくなる程、長居をしてしまった。

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金属音は最高、いつまでも聴いていたい気持ちだった。
そして、床に敷き詰められた藁の香りがとても甘く、既にここはハイブランドのビルの一室ではなかった。言うなれば「永遠」に近い場所だった。

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「アニミタス」シリーズは、大地に刺さされたその棒が、ボルタンスキーの産まれた日の星座の配列を再現している事もまた心に刺さった所以で、心地の良い金属音に誘われ、「自身」と「空間」の境界を溶かすこの時の私はまだ、2年後にまさか自分の星の配列(ホロスコープ)を同じように読みとく事になるなんて知る由もなかった。

とにかく私はいつまでもここに居たかった。

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※断片的でいて、レポートと呼べる程の記録では無いかもしれません。しかし、ここに残します。

ボルタンスキーよ、永遠に。

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