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特徴ある世界各地のESG投資

世界のESG投資推進団体(SIF: Sustainable Investment Forum)の連合であるGSIA(Global Sustainable Investment Alliance)は最新のESG投資統計”Trend Report 2018”を4月1日に公表しました。

GSIAは世界各地のESG投資実績をまとめた、世界でも数少ない統計です。2012年版から1年おきに統計を公表しており、今回は4回目の公表となります。レポート本編では残高のほか、各投資手法の変化率を主に取り上げていますので、この投稿では各市場(欧州、米国、カナダ、オーストラリア・ニュージーランド、日本)における各投資手法のシェアを中心に紹介していきたいと思います。

主に取り上げるのは以下の3手法で、定義は以下のとおりです。

1)ネガティブ・スクリーニング:倫理的・社会的・環境的な価値観に基づき、特定の業種・企業を投資対象としない
2)ESGインテグレーション:通常の運用プロセスにESG要因を体系的に組み込んだ投資
3)議決権行使・エンゲージメント:方針に基づき、株主として議決権行使および建設的な対話を行う

1)ネガティブ・スクリーニングは欧州で最も一般的な投資手法で、キリスト教の教義に沿ったアルコール・タバコ製造業の除外は有名です。加えて最近は脱炭素の掛け声のもと、化石燃料関連、特に石炭関連企業の除外が広まってきています。

2)ESGインテグレーションは米国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドで最も一般的で、ESG要因の中でも特に財務分析に影響力の大きいものに注目する投資手法です。企業がESG要因の中から特に重要なものを選別するためにマテリアリティ分析を行うことがありますが、主にこの投資手法への対策です。

3)議決権行使・エンゲージメントは日本で最も一般的な投資手法で、銘柄選別の段階というよりは既に投資している企業に対してESG要因について議決権行使および対話を行うというものです。ただし日本では議決権行使および対話のテーマはガバナンス関連がメインで、今後は上記のESGインテグレーションの視点を参考に環境・社会関連の活動の増加が望まれます。

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