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ビジネスパーソンのためのESGの教科書 英国の戦略に学べ

標記のタイトルの書籍が初の単著として5月27日(月)に発行されます。

私は2007年7月から約8年、ロンドンで大学院に通った後、現地のESG評価機関EIRIS(現Vigeo Eiris)で働いていました。この時期は2006年にESG投資の推進機関である責任投資原則(PRI)の本拠地がロンドンに置かれ、グローバル規模で、ESG投資が拡大した時期と重なります。各金融機関のESG投資の担当者が講演や議論を数多く行い、ESG投資業界の躍動感を肌で感じることができたのは何物にも代えがたい経験でした。

2015年末に現職に就いた後も、何度かロンドンを訪れ、現地の業界関係者と議論を重ねていますが、直近では今年1月に訪れています。ちょうど英国議会の下院でEUとの離脱協定案が歴史的な大差で否決されたときです。当日の日中はシティで業界関係者と交流して、ホテルの部屋でその瞬間を見ていましたが、一部の関係者が指摘していた通りとなってしまったと思ったものでした。実際このニュースに対して金融街シティは動揺はありませんでした。翌日16世紀より存続している王立取引所に行ってみました。設立当時は金融商品の取引所でしたが、現在は商業施設となっており、日本でも紅茶のブランドとして有名なフォートナム&メイソンの喫茶店が入っています。そこでの様子もいつも通りで、市場関係者による談笑を見ることができました。

このような余裕の背景には歴史に根付いた金融商品開発の歴史があり、ESGもそのような金融商品の一端を担っています。このような歴史を支えてきたのはハードローとソフトローの絶妙なバランスの上に成り立つエコシステムです。ハードローは罰則付きの法律、ソフトローは業界や国際規範による自主規制のようなものを想像していただくとよろしいかと思います。特に充実したソフトローに日本が学ぶべきものが多いと考えています。

教科書の名の通り、ESGについて初めて触れる方でもお手に取っていただけるように平易な文章を心がけました。またサブタイトルで「英国の戦略に学べ」とありますが、英国の真似を推奨するというよりは、英国での成功要因に注目しつつ、それを日本で活かすための行動という視点で締め括っています。そのため単なる教養本というだけでなく、企業、金融業界、消費者が具体的な行動を起こせるような指針も示しています。

ぜひお手に取っていただき、読後感を多くの方から伺えたらと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。

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