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#533 『ブランクーシ本質を象る』展に行って、彫刻に溺れた話 〜アーティゾン美術館〜

アーティゾン美術館で開催中の展覧会に行ってきて、大変興味深かったので、メモ。


1、どんな展覧会?

東京京橋にあるアーティゾン美術館で7月7日(日)まで開催の展覧会です。

HPでは本展覧会の概要について以下のように紹介されています。

ルーマニア出身の彫刻家、コンスタンティン・ブランクーシ(1876-1957)は、純粋なフォルムの探究を通じて、ロダン以後の20世紀彫刻の領野を切り拓いた存在として知られます。本展は、彫刻作品を中核に、フレスコ、テンペラなどの絵画作品やドローイング、写真作品などが織りなす、ブランクーシの創作活動の全体を美術館で紹介する、日本で初めての機会となります。ブランクーシ・エステートおよび国内外の美術館等より借用の彫刻作品約20点に、絵画作品、写真作品を加えた、計約90点で構成されます。

私のざっくりとした知識では、ブランクーシといえば、それまで人物が主だった彫刻において、初めて彫刻の抽象化に取り組んだアーティストで、作品がアメリカに輸出された際に美術品ではなく工業製品として税関で課税されたという逸話がある、ということぐらいです。

(たまたま時間があったので出かけてみた、というところが本当です…)


2、同時開催『石橋財団コレクション展』もすごい。

で、例によって同時に石橋財団コレクション展が行われています。
毎回驚くのですが、本当に幅広いコレクションです。今回はおそらくですがブランクーシ展との連動も考慮して、彫刻が多く展示されており、溺れるほどでした。。

正直、あまり彫刻には興味がない(失礼)のですが、今回は20世紀初頭以降の、ちょうど、それまでのモニュメントとしての彫刻から、アーティストが自身の表現したいものを作った、作品としての彫刻へと変わっていく最初のタイミングからのものが多く、大変興味深かったので、例によって独断と偏見でその一部をご紹介します(ブランクーシじゃなくてすいません…)。

まず、ドガの作品。そうです、あのバレエの踊り子をモチーフとした絵画で有名なドガです。

エドワード・ドガ 「右手で右足を持つ踊り子」 1896-1911年

彫刻でも踊り子がモチーフですね。というか彫刻も作っていたなんで知りませんでした。

次に、ロダン。最も(?)有名なあの作品を背中からのアングルで。

オーギュスト・ロダン 「考える人」 1902年頃

上野の西洋美術館にあるのが有名ですが、こちらは高さが40cmにも満たない、ずっと小さな作品です。ロダンは工房を主催しており、工業製品のように様々なパーツを作って組み合わせることで作品を作っていたことで知られますが、縮尺を変えたサイズ違い、というのもあったんですね。

このアングルは、西洋美術館の作品では多分無理ですね…

まだまだご紹介します。
次は…誰の作品かわかりますか?めちゃくちゃ有名人です。

パブロ・ピカソ 「道化師」 1905年

そうです。ピカソの彫刻です。絵でも「アルルカン」つまり道化師を描いたものがありますが、彫刻でも作っていたんですね。

次は、私は初めてみる、スイスのジャコメッティの作品。顔が薄い…

アルベルト・ジャコメッティ 「ディエゴの胸像」 1954−55年

20世紀も半ばになると人間がモチーフですがだいぶ作家が表現したい造形になっていますね。

最後ですが、個人的には今回一番興味深かった作品です。

ウンベルト・ボッチョーニ 「空間における連続性の唯一の形態」 1913年

ボッチョーニのこの作品は美術史上、「未来派」を代表するもので、人体の周りの空気の流れを形で表現した画期的な作品、という解説と合わせて何回か写真をみていて記憶に残っていたものです(うろ覚えですが)。

で、思いがけず今回実物を観ることになったのですが、写真では分からなかった後ろや前の造形も観ることができて、「空気の流れ」が実際、どのように表現されているかをじっくり観察することができました。

ちなみに、後ろ姿はこちら。

同上

いかがでしょう?
ちょうど日本でF1やっていますが、エアロダイナミクスというか、そういった空気の流れ、というのを表現しようとしていることが分かります。


3、まとめ

いかがでしたでしょうか?

例によって石橋財団のコレクションに圧倒されました、という内容でした。
主題のブランクーシの作品には一言も触れていない…

以前、抽象絵画の流れがわかる以下の企画展に行ったときも思いましたが、ただ単にたくさんある、というだけでなく、歴史的にも重要な作品が、絵画や時代、国に関わらず充実している、ということです。

彫刻でもそうだ、ということがわかりました。

珍しく会期がたくさん残っている段階でご紹介できていますので、気になった方はぜひ訪れてみていただければ。


最後までお読みいただきありがとうございます。
アーティゾン美術館の感想となりますが、どこか参考になったところがあれば嬉しいです。

アーティゾン美術館に関しては以下投稿しています。
すごい、とか、圧巻としか書いてないですね…


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