林檎の森の狼たちよ
日中、痛覚が繋がっていなかった。
何を見ても、何を触っても、何も浮かばない自分がいる。
あ、猫は見ててかわいかったかも。
でもそれ以外は、何も感じていない自分があるっていう自覚だけ。
自分のどうしようもなさとかは全部誰かのせいにして、責任から逃れたいな。
そう思って町を散歩していた時、わたしの目の前を群れの狼たちが過ぎていった。
怖くなって物陰に隠れた。そして彼らを見た。
ここから先は
2,290字
¥ 250
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?