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共感力のある職場を作りたい#5〜口に出してみて、聞いてみて気づくことがある

私は事業計画を担当するチームの課長をさせていただいていますが、そのチーム力向上を目指した取り組みをご紹介しています。

今回はその5回目です。

1回目でご紹介したのは、私がこのチームに参加したときに感じた、「重複した作業をしているメンバーがいることに気づいていない人がいる、気づいていても口に出していない」ことです。
これをきっかけとして、チーム内でコミュニケーションが取れるようになってほしい、と思うようになりました。

2回目では、コミュニケーションが取れるチームになるキーワードとして「共感力」を設定したことを紹介しました。
コミュニケーションをとるためには、各自が自分の意見を発信する必要がありますが、「聞いてもらえる」雰囲気がないと誰も話そうとしないはずです。チームメンバーに対し、「自分が話す内容に気を向ける前に、相手に聞く姿勢を見せましょう」という話をしました。

3回目では、会社で実施された職場満足度アンケートの内容と、それに対するメンバーの考えを紹介しました。
会社の設定した「職場に満足している(と会社が考えている)状態」に対し、どれだけ一致するかをスコア化したものでしたが、そもそも、会社の「良い職場」の価値観とメンバーの価値観が一致していない、ということに気づかされました。

4回目では、そんな中で部署の上位職制メンバーが職場の課題分析を行った内容をご紹介しました。
課題分析の手法が、「昔はよかった」という前提になっており、如何に昔に比べて今ができていないか、という説明に終始をしていました。
そのため、今後の対応は「過去のようにできるように指導する」という結論になっていました。
しかし、「昔上手くいった」からと言って今後上手くいくとは限りません。
決めつけではいけません。
あるべき姿や、やるべきことをメンバーと一緒に考え続けたい、そう思わされました。

さて、今日はその後のことをご紹介します。

自分の仕事の紹介から始めました。

初めに紹介したとおり、キーワードは「共感力」だと考えました。
自分の気づいたことを各メンバー自ら発信し、進化できるチームになっていきたい、と思っていますが、大事なのは、「自分が発信できること」だけではなく、「相手が発信できる雰囲気を作ること」だと考えています。

そう考えたのは、私のチームメンバーと1on1をしているなかで、気づいたことがあっても発言しないのは、「どうせ言っても無駄だろう」とか、「うるさい奴と思われるのではないか」という心理であることが見えてきたからです。

それを踏まえ、発信できるチームになるためには、発信よりも、「受け入れる力」のほうが大事であると思ったのです。

そして、ここで重要なのは、「自分が受け入れていると思っている」だけではいけないことです。相手に「受け入れている、共感していると伝わる」ことが大事です。

なぜなら、主体は相手だからです。
相手が発言しようとすることが大事であり、そのために「共感しようとしていること」を伝えなければいけません。

私のチームで、その力をつけていきたいと考えました。
そのために、チームでミーティングを行うことにしました。

まずは、「自分の仕事を紹介する」ことからです。
自分の仕事を紹介し、どんな目的でやっているのか、どのくらいの負荷があるのか、どんな困っていることがあるのか、どうしたいのか。。。を話してもらうようにしました。

そして、チームメンバーには、「共感する努力をする」ようにお願いしました。
知るためにどんどん質問してほしい。質問が出なくても頷くだけでもいい。

そのために、オンラインミーティングですが顔出しをお願いしました。

実際のミーティングではどうだった?

メンバー全員が、本当に頑張ってくれて感謝しています。
自分の話をするときには、自分の考えをしっかり述べてくれました。
自分はこの仕事にどのような価値があると思っているのか。仕事をしていくうえでジレンマがあればそれも話してくれました。
今までは、解決策のないモヤモヤは発言しない人が多かったですが、そのモヤモヤも発言してくれました。

聞くときには真剣な顔で話に耳を傾け、相手が困っているときには一緒に困った顔をしたり、冗談には笑ったり。共感できるときに頷いたり。
一人一人が努力してくれている様子が伝わってきました。

質問を出すのはやはり簡単ではないので、私ともう一人のベテラン一般職の方が質問を多く出しましたが、私が他のメンバーに意見を求めれば、自分の知っていることや意見を言ってくれました。

ミーティング後の各メンバーの様子。

私のチームメンバー5人全員分の業務紹介をしたので、4回にわたってミーティングを行い、延べ9時間ほど話しました。

終わった後、各メンバーとの定例1on1でどのような感想を持ったか聞いてみました。

各メンバーとも、一言目に「やってよかったです」と言ってくれました。

まず、話す立場としては、顔が見えるのは話しやすいと思ってくれたようです。私のチームが発足したのは21年1月で、すでに在宅メインでしたから、全員が顔を合わせる機会は数えるほどしかありません。
あったとしても、お互いに会話するような会議はありませんから、メンバーの様子がよくわからない、という意見がありました。
しかし、今回は顔出しをするだけでなく、お互いに話をし、リアクションをしていたので、つながりを感じることができた、という意見がありました。

聞く立場としては、リアクションしようとすると、自然と集中力が増したという意見がありました。理解しよう、共感しようと思うと話に対する向き合い方が変わったようです。

相手の話を受け入れることで気づくことがある。

そして面白い意見が、「相手の考えを理解しようとすることで、自分が考えていなかったことに気づかされることが多かった」というものです。

今までは、自分の意見が主体だったので、相手の意見は「他人事」だったそうです。
今回は「相手の意見に共感する努力をする」というのがテーマでしたので、真剣に理解しようとします。
そうすると、自分が考えたことがない意見であることに気づかされたというのです。

今回は、相手が話しやすい雰囲気を作るために、「相手から見える、現れる部分」でリアクションするようにお願いしました。
頷いたり、笑ったり、質問したり、という表に出ているわかりやすいものです。

それによって自分が話しやすくなる、という効果に皆が気付いたことで一定の成果があったと思っています。

一方で、相手の話に真剣に耳を傾けることで、自らの考えを顧みる機会になったというのは嬉しい効果でした。
内省を促した、ということになるでしょうか。

聞くだけでなく、内省してその先の行動に結び付ける。

相手の話を聞く、というのは、それだけが目的ではなく、その先の行動であり、それによって成果を生み出すための第一歩です。

そのように考えると、相手が話しやすい雰囲気を作りながら、自ら内省し、次の行動を考えるようになった、というのは自分が予想している以上に効果があった、ということになると思います。

この発言をしてくれたのは若手ですが、この先どのように行動が変わるか楽しみです。

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