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効率化を実現するためにはリスペクトとゼロベース思考が大事。

昨今、私の職場では効率化が叫ばれています。
理由としては、大きく二つあります。
一つ目は「人がいない」ということ。二つ目は「テレワークが進行したこと」です。

一つ目の「人がいない」については、事業環境が厳しくて、増員が難しいこと、残業ゼロが方針となっていることを示しています。
二つ目の「テレワーク進行」については、テレワークが拡大することで、職場で顔を合わせて話す機会が減ったことに加え、在宅勤務を前提とすることで、プライベートと仕事のバランスを取ることができるようになり、業務時間が多様化したことで、メンバー共通の時間が減った、ということになります。

皆さんの職場ではどうでしょうか。理由は様々と思いますが、少ない時間でアウトプットを出さねばいけない、という状況は共通する部分があるのではないでしょうか。

私も課長という立場でこの効率化の必要性に直面しています。
取り組む中で私が気付いた重要なことを共有したいと思います。

1.「効率化」って何だろう?

皆さんは「効率化」で何を想像しますか?
私の職場で「効率化」が目標として掲げられた時(効率化が目標ということも突っ込みどころありますが)、同時にタスクとして掲げられたのが、「業務の改廃」です。

「業務の改廃」といってもちょっと何言っているかわかりにくいですが、結局のところ、「やらないことを決める」とされています。

つまり、「仕事を減らす」ということですね。
皆さんはいかがでしょうか。
似ているところが多いのではないか、と推測しますが、うまく減らせていますか?

2.「減らす」決断は難しい。

私の職場では「減らす」ことを「効率化」としているわけですが、そうそううまくいっていないわけです。

何故か。

「減らす」決断の理由が説明できないからです。

「減らす」決断をする。つまり、この時に何を議論しているかというと、「減らしていいか?」という議論なわけです。

「減らしていいか?」を議論するわけですから、当然、「減らす業務」の内容について議論しますよね。
その業務が無くていい理由について議論します。

皆さんの周辺で、「なくてもいい"かもしれない"業務」についてちょっと思い浮かべてみてください。
誰もが「なくてもいい」と明確に決められる仕事もあると思います。
一方で、「なくてもいい”かもしれない”」ものについては、きっと、「必要な理由」もいくらかあると思います。

つまり、やめることによって発生する「背反やリスク」が恐らくあるわけです。これを挙げるのはそこまで難しいことではありません。
今やっていることに対して、「~ができなくなる」と反対のことを言うだけでリスクっぽく聞こえるからです。

深く議論すべき背反やリスクもあるはずですが、上記のように「~できなくなる」というだけでリスクっぽく聞こえてしまって、それだけで議論している気になることがあります。

そして、これだけで決断できなくなるマネージャーもいるわけです。
リスクが怖いという人もいると思いますが、私の経験上、大概の場合は、マネージャーの上司(課長にとっての部長、部長にとっての事業部長など)から、「大丈夫か、リスクないのか」と聞かれたときに説明するのが嫌だから、決断しないでおこう、という例が非常に多かったです。

このような形で決断が止まっている事例、多いのではと思います。

3.「今の仕事」について考えるのではなく、「今後のアウトプット」から考える

このようなことが起こるときによくあるのが、「今の仕事」を是として考えているということです。

「今の仕事」というのは、作業や報告のような「プロセス」のことを示しています。
「今のプロセスと同じようにできますか?」と問われると、「プロセスに手を付ける」時点でアウトです。同じにはなりません。
プロセスに目を向けた時点で、効率化は進まなくなる、と思います。

ではどうするか。

「今までのアウトプット」と「これからのアウトプット」を比較して考えることが必要だと考えています。
もう少し説明すると、「今までの”私たちの”アウトプットによって生み出される”会社or事業の"アウトプット」と「これからの"私たちの"アウトプットによって生み出される”会社or事業の"アウトプット」を比較する、ということです。

私の考えですが、「効率化をせねばならない」と言っているときは、恐らく、「会社や事業のアウトプットを見直す時期、変わらねばいけない時期」なのだと思います。

つまり、過去の延長線上ではなく、ゼロベース思考で、「今事業として必要な出すべきアウトプットは何か?そのために私たちが何をアウトプットしなければいけないのか?」と考えていくことが必要です。

そして、「私たちが出さねばいけないアウトプット」から、必要なプロセスを決めていくということが必要だと考えています。
結果的に、そこに選ばれなかったところが「減らされる仕事」ということになりますが、今回議論しているのは「やるべき仕事」ですから、そちらを決断する理由は明確にしやすい、と考えます。

4.でもチーム内では「減らされる仕事」に触れないわけにはいかない

3までのように考えて、「これからはこの仕事をしていく!」というのは簡単です。
しかし、私のような課長は、そこからやることがたくさんあります。
それは、その仕事を遂行するメンバーに、「やること=必要な仕事と、やらないこと=減らされる仕事」の説明をして納得してもらわないといけないということです。

「減らされる仕事」を担当している人が必ずいます。
その人にとっては、自分の人生の時間を使ってしている仕事であるわけで、その時間を「これからは無意味」であるように言われて気持ちいいわけがありません。(もちろん思考ストップして作業している人もいるかもしれませんが)

実際、私の課で行っている仕事で、一方的に部長から「やらない仕事」と決められたものがありました。その時は「ああ、私の仕事は偉い人にとってはどうでもいいのね」と言われてしまいました。
これからも戦力として期待している人の気分を害して良いことは何一つないわけで、このように伝わってはいけません。

5.部下の仕事に向き合い、どのような想いで仕事をしているかの理解をしなければいけない

先に述べたように、私の課で、「私の仕事はどうでもいいんだね」と思われてしまった、という経験があってから、私は1on1で会話する内容を見直すようにしました。

それは何かというと、「各メンバーの仕事の話を聞くときに、必ず共感し、そして質問する」ようにしたということです。

目的は、「各メンバーの仕事に対する想いやプライドを理解すると同時に、質問することで”理解しようとしている”ことを伝える」ためです。

上記したように、「減らされる仕事」を伝えるときに、その伝え方を検討するためにメンバーの想いを知っておくことはとても重要です。
しかし、それだけでなく、「メンバーから見て」私がその想いを知っていることを認識してもらうことで伝わり方が全く変わってきます。

その場の説明ではなく、日頃の信頼関係で効率化の成否が変わる

このように、どのように効率化するか、そのコンテンツを決めるときにはゼロベースで「これからのアウトプット」を考えることが大事ですが、それを実行するためにメンバーに伝え、巻き込むには、「日頃からの信頼関係」が大事です。

そして、そのためには「常にリスペクトを持つこと、それを伝えること」が絶対必要です。

効率化というとそのコンテンツとタスクに目がいきがちですが、マネージャーとして、日頃からの積み上げを意識していきたいものです。

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