どの子にも通用する九九の教え方!発達凸凹を徹底網羅する指導法
6日間英気を養っていたからこそ、職場に戻るとリバウンドが発生。
今週、来週頭を越えれば、また日常のリズムが戻って来る。
今、この時が気愛の入れ時ですね!!
皆さん、顔晴っていきましょーー♪
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どうぞ、ごゆるりとお過ごしください。
共育LIBRARYりょーやん、元教師です。
2年生の算数で最も重要な学習。それは九九です。
九九が言えることによって得られる恩恵は計り知れません。
3年生の「わり算」「かけ算筆算」
4年生の「わり算筆算」へとつながり、
5・6年生では全ての単元で、習得していることが当たり前のものとして、フルに使っていくことは想像できると思います。
皆さんの中には、
「九九なんて当たり前に覚えてたからなぁ・・・。今更覚え方と言われても思い出せないなぁ・・・。」
という方も多いのではないでしょうか。
九九は大抵の子どもは時間をかければ覚えることができます。
しかし、筆者の経験上、1クラスの中に、九九を覚えるために、必要以上の時間と労力を要する子どもが1~2割います。
そのような子どもは、全員がとは言いませんが、LD傾向があり、九九がなかなか定着しない実態があります。
九九の習得が曖昧、もしくは自信がないと、3年生以降の算数でどんどんつまずきが増えていく傾向にあります。
そして、九九というたった1つの指導法ですが、それを詳しく見ていくだけで、発達凸凹がある子どもに対応する教え方の特長を捉えることができるのです。
何かの学びのきっかけになると思いますので、是非、最後までご覧ください。
九九に苦手意識をもつ原因
筆者は、九九が入りにくい子どもがいる原因は、次の3つだと考えています。
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🟦数の概念が定着していない
🟦普段使わない言い回しがある
🟦音と数字がリンクしない
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です。順々に説明します。
🟦数の概念が定着していない
最も喫緊性が高い要因は「数の概念の定着」です。
りんご1個のことを「1」と表す、この「量感」と「数字」が結びついていないのです。
「そんなバカな。」と思う人がいるかもしれませんが、一定数、このような概念が分からない子どもがいます。
1年生の教科書は、まずは、絵の中から「ちょうちょが何匹いるか。」「アヒルは何匹いるか。」といった、声に出して数えることから始まる。
そこから一対一対応といった数の数え方を習ったり、それを数字に置き換えるという工程を経て、数字が持つ数量を理解していったりするのです。
量感が育っていないと、計算のおおよその検討をつけることができません。
また、文章題では、たし算になるのか、引き算なのかを判断できない可能性が生じてきます。
この量感を大切にしているからこそ、1年生の教科書は、
イラストという「具体物」を、
ブロックという「半具体物」に置き換え、
最後は「数字」で式に起こしていく
という流れになっているのです。
このステップをいい加減にすれば、土台が安定せず、学習したことが、正しく積み上がっていかない構造を作り出してしまう結果となります。
🟦普段使わない言い回しがある
九九には独特な言い回しがあります。
「2×2=4」を九九以外で読むときは「2かける2は4」となります。
一方で九九では「ににんがし」です。
改めて考えると、なぜこのような特殊な言い方になっているのかと、疑問を抱いてしまいます。
「2」を「に」と読むことは、1年生の間に、地道に積み重ねて習得している。
「2」は「に」である
という普遍的事実であるはずの情報が、「2」を「にん」と読む九九の特殊な読み方によって打ち砕かれるのです。
これは、発達に凸凹をもつ一部の子どもにとっては大変な負荷です。
発達に凸凹をもつ子どもたちは、音素(モーラ)という日本語の音を聞き取ることが得意ではない子が一定数います。
日本語の中に一部聞き取りづらい音が個々によって存在することもあります。
彼ら彼女らは、「カ行」と「サ行」のように、混同しやすい音というものがあり、五十音図さえ、正しく把握し切れていないのに、新たな九九専用の読み方を覚えなければならなくなる。
たまったものではありません。
加えて、発達に凸凹をもつ子どもは、ワーキングメモリが低い傾向がある。
耳で聞き取った情報を長く保持できないが故に、いつまで経っても、何度も聞いても、九九の音声が記憶の中に定着しないという事態が発生します。
🟦音と数字がリンクしていない
では、がんばってなんとか九九を覚えたとしましょう。
しかし、それは本当に意味を理解して覚えているのでしょうか。
「2いちが2、2にんが4、2さんが6・・・」となんとか覚えて口で言えるようになったとしても、
「2かける2は何ですか。」と聞かれ、
瞬時に「2かける2は、2にんが4のことだ。」と考えることができるでしょうか。
九九を意味を待たないただの音声としてだけ覚えた子どもは、九九以外の聞かれ方をすると、それだけで答えられなくなってしまう場合があります。
「2いちが2」というのは、「2×1=2」のことを示し、「2かける1は2」と読む、内容の関連性を押さえておかなければいけません。
そのような意味をきちんと理解していれば、「2の段は答えが2ずつ増えていく」といった規則性を理解することができます。
そうなれば、多少九九を忘れてしまったとしても、規則と照らし合わせ、答えを導き出すことが可能なはずです。
どのような子どもにも効果がある九九の教え方
九九を覚えるためには、2年生の授業で九九が始まってからではゆとりがありません。
それ以前からの下準備を整えておくことが、1番子どもに負担なく、九九を覚えるさせることにつながります。
ここでは、
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🟨100玉そろばん
🟨フラッシュカード
🟨暗唱
🟨歌
🟨トレーニング
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という5項目に絞って解説していきます。
🟨100玉そろばん
これは、学校の授業であれば、素晴らしい効果を発揮できる教材です。
教師が、この100玉そろばんを使う場合は、教授用を使うのですが、子ども用を使ってご家庭で行うことも十分可能です。
100玉そろばんは、1年生のときから毎日、授業の冒頭に行うのがベスト。
1年後には圧倒的な基礎学力を付けることができます。
100玉そろばんは、様々なパターンがあります。例えば1年生で行うとしたら、以下のような流れとなります。
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
【順唱】
1~20まで順に数える
【逆唱】
20~0まで逆順に数える
【2とび】
2、4、6と2つずつ増やして20まで数える
【5とび】
5、10、15と5ずつ増やして60まで数える(時計が60だから)
【10とび】
10、20、30と数えて100まで数える
【10の階段】
1~10を階段状に並べ、合成へつなげる
【10の合成】
1と9で10のようにいくつといくつを合わせるかを唱える
【10の分解】
10は1と9のように10はいくつといくつに分かれるかを唱える
【たし算/引き算】
たし算/引き算の問題をランダムに出題する
【繰り上がりのあるたし算】
8たす5の場合、「8はあと2で10」「5を2と3にわける」「8たす2は10」「10と3で13」のように玉を操作しながら行う
【ひき算】
ひき算の問題をランダムに出題する
繰り下がりのあるひき算・・・11ひく3の場合、「11は10と1」「10ひく3は7」「7と1は8」のように玉を操作しながら行う
【100とび】
100玉そろばんを傾けて一気に100移動させる。右、左、と傾ける度に、100、200、300と1000まで数えさせる
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このような活動を、4月から少しずつ増やしていき、授業の始め5分~10分で行い続けます。
この100玉そろばんの素晴らしいところは、いつでも視覚で情報が入ってくるところです。
そして、クラス全員で唱えているので、数の概念が分からない子どもも、音をまず覚えていくことができます。
さらに、1年間という長期的なスパンで繰り返していくことにより、そろばんの玉1個分を「いち」と言い、それが数字の「1」なのだということを理解していくのです。
加えて、1年生の最も重要な幹となる「10の合成」と「10の分解」を視覚・聴覚を使って完璧に覚えてしまえるところが、100玉そろばんが真価を発揮するところです。
上記のメニューを当たり前のようにこなすことができるようになれば、繰り上がりや繰り下がりも習熟します。
加えて、2とび、5とびなどのかけ算につながる活動が入っているので、スムーズに九九に入ることができます。
これだけの下地を整えた状態で、2年生の5月あたりから、100玉そろばんで九九を取り入れ始めます。
「2の段」「5の段」から始め、その他の段へと移動していきます。
動画は2とびのように玉を操作していますが、3の段、4の段になるとわかりづらくなるので、筆者は縦に2ずつ重ねて2の段を行っていきます。
5~10前後のパーツを5分で行うので、筆者は上記動画の1.5倍速のスピードです。
子どもは速い方が、ドーパミンがが出て、情報が入りやすくなりますし。
また、
九九の9の段は比較的簡単です。
9の段の答えは、9、18、27、36と続きます。
この十の位と一の位を足すと
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
9(0+9=9)
18(1+8=9)
27(2+7=9)
36(3+6=9)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
と全て和が9になります。
十の位は1、2、3と一つずつ上がるだけなので、いざ、困ったら、この方法で思い出すことができるでしょう。
🟨フラッシュカード
フラッシュカードは、カードを次々とめくって子どもに情報をインプットさせる教材です。
100玉そろばんで、「言い方」と「量感」を5月から養ってきた場合は、教科書の九九に入る段階で、既に言い方をマスターしている可能性が高い。
ただし、100玉そろばんでは幾つか抜けている要素がある。
それが、「九九を実際のかけ算の式に落とし込んでいない」ということです。
加えて、聴覚ではどうしても正確に聞き取ることができない子どもがいるので、「文字にして視覚で捉えさせる活動が足りない」点もそうであると言えます。
これらの要素を補完できるのがフラッシュカード。
ただ単純に「2×1=1」と書いてあるフラッシュカードでは上記の点を補完することはできません。
筆者はカードよりも、フラッシュコンテンツを好んで使いますが。
例えば、以下のようなコンテンツです。
上記のようなスモールステップで構成されたスライドを、大人が隣にいて一緒に読みながら行っていくことにより、読み方を十分に抑えた上で覚えていくことができます。
上り、下り、ランダムと織り交ぜていけば相当な力が付くはずです。
100玉そろばん+フラッシュカードを組み合わせていけば、95%以上の子どもが九九を覚えることができます。
実際に境界知能(IQ70近辺)の子どもでも覚えることができる。
大事なのは、九九の学習が始まる直前に行うのではなく、2年生の5月、つまり半年前から少しずつ始めてしまうということです。
それだけのゆとりをもった準備期間があるからこそ、無理なく、自然に覚えることができるのでしょう。
このフラッシュコンテンツは以下のURLからダウンロードできますので、使ってみたい方がいればご活用ください。
🟨暗唱
ここまで紹介してきた方法は、授業で言えば全員で取り組む活動でした。
ここからは個別テストを行っていきます。
それが暗唱です。学校であれば、授業時間内に暗唱テストの時間を設けます。これは教科書の九九の学習が始まってからです。
暗唱については、筆者は詩文の暗唱も授業で行っていたので、それらを記事にするときに解説しますね。
🟨歌
九九には歌があります。それを活用するのも手でしょう。
上にあげた「100玉そろばん」「フラッシュカード」「暗唱」を手順通りに行えば、歌はおそらく必要ありません。
ただ、歌の方が入りやすいという子どもがいるのも事実。
そして、歌を覚えるのは右脳であり、右脳で覚えたものはなかなか忘れません。
皆さんも、歌は、イントロが流れ出せば、その後に続くメロディを思い出すことができると思います。
そのように、きっかけがあればかなり忠実に記憶を再現することができるのが、歌。
だからこそ、車で送迎するときに聞かせるだけでも効果大で、重宝します。
歌だけだと音声のみなので、数字や数量に落とし込むことができることを並行して行いながら、です。
🟨トレーニング
これまでの過程で既に、九九の音声が内言語化されているので後はひたすら問題を解くトレーニングのみ。
音読が黙読になるのと同じで、口に出さなくても、心の中(脳の中)で、九九の音声がリピートされる状態となっているはず。
後は、ひたすら、体・筋肉を動かして染み込ませるのです。
順序通り、ランダムなど、様々な問題を解かせていけば習熟していくでしょう。
九九カルタというものもありますので、体を動かして楽しくトレーニングするのもいいかもしれません。
まとめ
この記事の内容をまとめると九九を習得するステップは以下のようになります。
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
❶100玉そろばんで、数字と音、量感をリンクさせておく
❷100玉そろばんで、九九の言い回しと量感をリンクさせる
❸フラッシュカードで、「九九の言い方+量感」を実際の数字や式とリンクさせる
❹様々なパターンの暗唱を行い瞬発的に九九が出るようにする・内言語化する
❺鉛筆を持って問題を解くトレーニングをする
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
これらの方法でも、なかなか習熟しなければ、長期記憶から適切な情報を引っ張り出す方法が不得手な可能性が高いです。
その場合は、素直に九九表を横に置いて、外付けのハードディスクのような役割を担わせながら学習させた方が、大人側も、本人も、負担が少ないと思います。
九九意外の算数の指導法については、また発信していきたいと思いますので、その時は是非、記事をご覧ください。
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いつもいつも、最後まで読んでくださり本当にありがとうございます!
明日の記事は、
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