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200年咲き続ける花菖蒲【新人読書日記/毎日20頁を】(76)

『歌川広重の声を聴く』、181〜200頁、読了です。

「遊観するに良い場所」の節で、今でもよく知られている名所の「堀切の花菖蒲」が取り上げられています。著者の解説によると、絵に添えられている言葉で、広重は次のように菖蒲園をアピールしているそうです。

毎年四月下旬から五月にかけて様々な色の花菖蒲が咲き乱れる。その色の数は数えきれないほどで眺めが本当に素晴らしく、遠方からも舟に乗るなどして人々がやってくる。美女が花菖蒲を愛でているとどちらが花かと見間違うような心地にもなり、それもまたこの場所を巡り歩く一興である。

(歌川広重の声を聴く p.197)

この文を読んで、頭の中に艶やかな菖蒲園が浮かんできます。ところが、挿絵では、色の表現として、黒と白の菖蒲しか見えないのです。なるほど、つまり、絵で省略した部分を言葉で補完するという宣伝戦略ですね。


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