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排卵の隠蔽、家族の成立 【新人読書日記/毎日20頁を】(35)

 「人間性はどこから来たか」、121-140頁、読了です。

 引き続き、「家族の起源」を巡る議論です。人間と動物の違いは、男女の性差による労働の分業の有無にあるそうです。狩猟採集社会では、男性が大型獣の狩猟など、より「汗をかく」仕事を担当するのに対して、女性は子どもの世話、植物の採集や小型獣の狩猟など、キャンプから遠く離れない仕事をするということです。ただ、現代社会では、男女による性的分業はほとんどなくなってきていますね。

 最後の節に、「排卵の隠蔽」という議題が語られています。研究により、チンパンジーやヒヒは性皮を腫脹させ、排卵を宣伝する特徴がありますが、人間にはそういう特徴はありません。著者の観点では、それは雄が社会的関係を維持しながら、自分の繁殖を確保するには、他の雄との摩擦を最低限にする必要があるからです。つまり、男性の間での嫉妬や競争を避け、安定した親子関係や、子育てを確保するためです。排卵の隠蔽ではないですが、現代社会でも、妊娠した人は、大体安定してから報告するという暗黙のルールがありますね。それも繁殖の本能に支配されているのかもしれません。


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