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写真を撮るようになってから

初めて、フィルムカメラで撮った写真。
2008年7月。東京に出たばかりの社会人1年目のものだ。

初めて住む東京でいろんな街を見て歩きたかった。
長くはいないだろうこの東京で、いろんなものを覚えていたくて。二人で暮らせる仮暮らしの場所を探したくて。

当時は、iPhoneも登場したばかり、Instagramもtwitterもなかったと思う(あったかもしれないけど知らなかった)。写真はそれほど日常ではなかった。

デジタルの一眼レフも売っていたけれど、今ほど普及はしていなかった。手の届く気軽な値段で買えたのがフィルムカメラだった。

FUJIの青や水色が好きで、綺麗な青みが出やすいフィルムを好んで使っていた。もちろん、コダックや他のフィルムもいっぱい使ったけれど。

当時は、今ほど「写真」が当たり前ではなかったけれど、それでもフィルム好きの集まる場所は、都内にいくつかあった。おかげで、あんまり現像に困ることなく、お任せで味のある写真を作ってくれたように思う。

初心者のころに、そういう写真屋さんに出会えて本当によかった。下手にデジタルから入るよりも、写真の一枚一枚に向き合うことができた。

なんだか最近うまく撮れないなぁ、と思ったこともいっぱいあった。景色を探しても、シャッターを押しても、現像しても、しっくりこない。そんな写真も、いま見返してみると、意外といいところがあるような気がする。

当時、失敗だと思っていた写真の良さが、いまになって見えてくる。

そのときにしか、撮れない写真が絶対にある。

そのときの感性、そのときの環境、そもそも街の風景だって日々変わっていく。季節の色も光もまるで違う。

写真を撮るようになってから、光や陰の些細な変化に敏感になった。灯りをつけていない部屋に差し込む光を、美しいと感じるようになった。

「フィルムのざらざらとした感じが好きで・・・」なんて、当時は全然共感してもらえなかったけれど、今なら分かってもらえるような気がする。

またフィルムみたいな写真が撮ってみたくて、レンズが欲しくなってきた。


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