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結局「限界芸術」って何なんだ?―10/2~ 週に読んだ本

こんにちは。3連休最終日な本日、関東は冷たい雨です。
昨日はカフェで1週間のうちに読み切れなかった本たちを読み切っていました。この時間がほんとうに至福!夜はラグビー観戦🏉惜しかったなー泣。

10/2~週に読んだ本はこちらの3冊です。

  • 鶴見俊輔『限界芸術論』

  • リン・ディン「石鹸と血液」

  • 山本一力「あかね空」

鶴見俊輔『限界芸術論』

見るからに古書って感じの装丁!(もちろん、作られたときは「古書」と思って作ってないだろうけど笑)

読んだ本その1はこちら。ちょっと前に読んだ「祝祭芸術」の中でも何度も引用されていたので気になっていて、日本の古本屋で探して購入したものです。
半月ぐらい積読だったのですが、満を持して読み切りました!芸術の秋が本格化する前に読めてよかったです。

本著者によれば、芸術は次の3つに大別されます。

「純粋芸術」…専門的芸術家によってつくられ、それぞれの専門種目の作品の系列にたいして親しみをもつ専門的享受者をもつ。
「大衆芸術」…これもまた専門的芸術家によってつくられはするが、制作過程はむしろ企業家と専門的芸術家の合作の形をとり、その享受者としては大衆をもつ。
「限界芸術」…非専門的芸術家によってつくられ、非専門的享受者によって享受される

前述著, 7

「限界芸術」を「地上にあらわれた芸術の最初の形」(P7)とみなし、着目したのが本書になっています。

正直、最初の方の説明的な概説を読んでもいまいちピンと来ない部分もありますが、後に続く新聞小説やラジオ、漫画といった身近なものの事例を読むと、なんとなーく理解できた気になります。

芸術作品に対して、つい非日常的なものという印象を抱き、距離を感じてしまうのですが、実は私たちの身近に「限界芸術」は沢山ある。そんなことに気づかせてくれる一冊です。

リン・ディン「石鹸と血液」

2冊目はこちら。ベトナム出身の作家リン・ディンによる短編集です。
どれも、アメリカにいるベトナム人というマイノリティ性が端々に表れていたり、真理をついていたり…、短いながら奥深いエピソードが豊富です!

訳者の柴田元幸は、解説の中で
「店頭でこの本を手に取られた方は、とにかく短いですから、まずは一本立ち読みなさってみてください、なんて言った書店のみなさんに怒られるだろうか…。」
と述べています。分かる!こう書きたくなる気持ち…。
個人的には「囚人と辞書」「道徳的な決断」が気に入りました。

中には(もしかしたら3分の1くらい?)1ページに満たないほどの短編も含まれています。印象に残った映画を羅列しているだけのものも。

それらも、一つの作品となる。この感じは「非専門性」、先ほどの「限界芸術」にもつながるものがあるのかなーとも考えていました。だとすると「限界芸術」って、「表現」と何が違うのだろうか?という疑問も生まれます。やっぱり理解できているようでまだまだ💦

山本一力「あかね空」

最後はこちら。知人に2ヶ月近く借りており、いい加減読んで返さないと!と思って、ラグビー終了後しずしずと読みました。時代小説なのですが、登場人物の描写が丁寧で、展開も分かりやすいのですらすら読み進めることができました。

豆腐屋家族の2代にわたる物語。私は一人っ子で未婚・子なしのため、正直兄弟間の軋轢や親が兄弟間で対応に差を作ってしまう気持ちが理解しきれない部分もありました。それでも最後は、家族のよさ、いざというとき結束できる力強さを感じることができました。

作者の山本一力さんは、様々な職業を経験したのち、小説を書き始めたとのこと。2002年には、第126回直木賞も受賞しています。

会社員を経験してから小説を書く作家も多いですが、こういうケースは、先ほどの芸術の分類でいうとどれに当たるのでしょうか?「限界芸術」なのか?「非専門家が専門的芸術に着手する」ことになるのか?

とまた、そんなことを考えてしまいました。
山本氏をはじめとする脱サラ小説家が増えたのは、「純粋芸術」の大衆化の表象に過ぎないのかもしれませんね。

まとまらないまとめ

今週は、とにかく『限界芸術論』に影響された1週間でした。
これから、地域でも様々な展示や公演が開かれ、極力足を運ぶ予定です。プロでなくても表現し、作品をアウトプットできる機会が、街の中で増えているのは喜ばしいことですね。これが「限界芸術」であり、「純粋芸術」「大衆芸術」を含めた芸術の根源なのだろうと思うと、尊い取り組みだなとも思います。

定義づけを知ると、ついどれかに当てはめたくなるのですが、目の前のことをそれほど複雑に考えるのではなく、純粋に楽しんだり、慈しんだり、時に批評したり、素直に享受したいなーと思うのでした。

ちなみに、今回の本の消化の舞台は、Border Cafe さんの一号店でした☕
ここのチャンククッキーはしっとり食べ応えがあってすごく好きです。長時間、お邪魔しました!

チャンククッキー(ホワイト)とアイスのカフェラテ

本日もお読みいただき、ありがとうございました!
連休が終わってしまう…明日からもぼちぼち頑張りましょう~。

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