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ひねくれ大学生・日比野くんの日記

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ちょいとひねくれた日比野くん。彼の抱えるやりきれなさやもどかしさは、いつもおかしな方向へ向かう。日比野くんの日々の記録。
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2020年2月の記事一覧

日比野はスマホを地面に叩きつける!…すんでのところで止めた。
落選。最近知ったアイドルのチケットが取れなかったのだ。悔しい…スマホの画面で彼女が優しく微笑んでいる。
-松田聖子ディナーショー¥47,000-
「アイドルとは会いに行けるものじゃなかったのか?時代は変わったもんだ!」

日比野は涙した。路上で人目も憚らず。
そうか、俺は辛かったんだ。留年も決まり…女子にも振られ…
誰も俺の泪を気にも留めない。みんな自分の泪を堪えるのに必死なんだ。
風が吹き荒び、ますます泣けてくる。鼻水も出てきた…帰ろう…
日比野が花粉症の存在を知ったのは、それから3年後だった。

日比野は勝利を確信した。リサーチによれば女子はこの時期、苺フェアビュッフェに行きたくなる。絶対に。
余裕綽々でバイト先の後輩を誘った…
「わたし月餅か胡麻団子がいい。ねぇ日比野くん、君はいったい何のために中華料理屋でアルバイトしてるの?」
日比野は本気で生きる女子の存在を知った。

日比野は目を見開いた。「嵐」の関連サイトをチェックする母の背中がずーっとそこにある。
幼少期の記憶、忌まわしき呪詛のことばが蘇ってきた。
(ゲームは1時間までって言ったじゃない!…ジャナイ…ジャナイ……ジャ……)
あの台詞は俺にではなく、きっと自分自身に向けたものだったのだ。

日比野は戸惑っていた。地域文化を問わず人が未来永劫の肉体を求めたことに。ミイラ展を鑑賞した帰り道だった。
自分はいつ消えたっていいと思ってるのに……俺にはミイラの気持ちが分からない!
薬局の店員も戸惑った。
「お、お客様。買い占めは困ります。しかもマスクじゃなくて包帯ぃ!!?」