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映画評論史

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2004年『I, Robot』は2035年の世界を作れるのか

2004年『I, Robot』は2035年の世界を作れるのか

ロボットと人間の混沌とした社会を描いたアレックス・プロヤス氏による『I, Robot』.

冒頭からロボットが道を歩き、荷物を運び、人を助けるために薬を運ぶ人型のロボットに強い印象を受ける.

印象的なのは人型のロボットや未来の自転車、未来の車があるのに対し大体の街中は煉瓦造りで古いノスタルジックな建物が並んでいること.ロボットを作っている会社のオフィスが未来的なのに対しノスタルジックな社会が人々

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『戦場のメリークリスマス』の素晴らしさを考えてみたい

『戦場のメリークリスマス』の素晴らしさを考えてみたい

少し前に『20240424』というテーマで戦場のメリークリスマスに触れることができたが、この映画の素晴らしさをもう少し感じてみたいと思う.

坂本龍一演じる「ヨノイ大尉」とデヴィット・ボウイ演じる「ジャック・セリアズ」による戦時中のジャワ島を舞台とした映画は今は亡き小島渚監督によって手がけられた.今は亡きと書いたが大島渚監督だけでなく坂本龍一もデヴィット・ボウイもこの世にはもういない.映画のストー

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『幸せへのまわり道』が作り出す世界観は現実世界で決して触れられない

『幸せへのまわり道』が作り出す世界観は現実世界で決して触れられない

マリエル・ヘラー監督の『幸せへのまわり道』という映画.僕が見てきた映画の中でも特に何も解明されず日常のストーリーとして終わった作品.現実のテレビ番組にストーリーを加えた映画でトム・ハンクス演じる「フレッド・ロジャース」とマシュー・リース演じる「ロイド・ボーベル」の関係に注目がいく作品.

主人公は父親を憎むロイド・ボーベルで、父親との関係がフレッド・ロジャースの影響によって徐々に良くなるのが大まか

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『マトリックス レザレクションズ』が作り出すのは今のSNSの鏡的世界なのか

『マトリックス レザレクションズ』が作り出すのは今のSNSの鏡的世界なのか

ラナ・ウォシャウスキー、リナ・ウォシャウスキー監督による『マトリックス レザレクションズ』.レザレクションズが「復活」の意味を持つように前3部作シリーズを踏襲している.

監督であるラナ姉妹は性転換手術によって「姉妹」になっている.この時期は前作のレボリューションズからレザレクションズの期間にかけてであり、映画に監督の性転換(ジェンダー)への意向が入っているに違いない.

そんな監督の意図を汲み取

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