ショートショート 昔話

おい、ボケコラッ! ゴミ! ダスト! 
どうも二行目です。一行目がすいません。
あ、三行目です。僕の方からもすいません。
四行目です。一行目は無視していいですよ。
いやいや、一行目最高! 俺は大好き!
俺も別に嫌いじゃないな。いいぞ一行目。
前の二行、終わってんな。本当すいません。
ということで、次の行からスタートです。

昔々、
ある所とあの場所で、
そして、
不治の病に侵されたあの娘が好きなあの丘で、なにやらどうやら度々、
不審者らしき人物が目撃されていたそうな。

なので、
その不安を取り除きたいおじいさんと
おばあさんは、
「じゃあ、ちょっと見回ってみようか」
という話をし、
その日の夜、
パトロールをしました。

ってな訳だけど、
翌日の朝、
お二人は水死体として発見されちゃったのです。

村では若者達が、
「無念でしょうが化けて出ないでくださいね」とか、
「とりあえずのご冥福を祈っときます。
あ~眠っ……」
とか、
「あなた方の村を守ろうという優しい心は決して忘れません!
ですが、
はっきり言って老人二人でどうにかしようなんてのは驕りだ。
自業自得ですよ!
軽く引きました!」
とかを二人の死体に向かって言っていた。
っていうのは置いといて、
お二人とも安らかにお眠りください。

この件を受けて、
村人Aは村人Bに、
「恐いな」
って投げ掛けていく訳だけど、
村人Bは、
「うん」
ってな感じで、
警戒心極薄の他人事みたいなテンションだった。

それから二人はお別れし、
村人Aはどこかの山奥へ、
村人Bは家で琴を奏でる、
という感じみたいです。

が、
村人Bは同居人の許可を得ないまま
琴を奏でちゃったので、
「一言、言ってから奏でてくれる?」
と注意を受けており、
「舐めてんのか?」
なんて苛つかれています。

一方その頃、
村人Aは
人知れずジングルベルを鳴らしていまして、
それともう一個同時に、
激しめのダンシングなんかをやっている。
一体、なんの練習なのかは分からない。
ベルを持ちながらダンスって相性的にはどうなんだ?
凄いうるさいでしょ。

とまぁ、
そんな話は置いといて、
村人Aの前に何やら怪しい人物が現れた。

その人物は、
村人Aに向かって、
「あなたがゴミ人間ですか?」
なんて尋ねていく訳だけど、
村人Aはそのお尋ねに対し、
「いやいや、
そう言われるとそんな気もしますが、
そう言われても、
そうですともとは言わないですよ」
とお返ししまして、
「ってか失礼だな!
初対面からのゴミ人間ですか?
は、とんでもなく失礼だ!」
ともお返ししていき、
「どうぞ、お帰りください!」
つって村人Aはお怒りな感じです。

という出来事があったこの日以降、
村人Aを見た者は誰もいません。
まぁ、
村人Aがどうなっているのかと言うと、
村人Aは山の奥で惨殺されています。
ただ、犯人は分からない。
村人A以外、
山の奥には行かないようなので、
このまま村人Aは行方不明という形になるでしょう。

しかし、
この行方不明を受けた若者達は、
噂の不審者が何かやったのだろう。
と推理し、
俺らでそいつをやってやろうぜ的な血気を見せている。

一体どうやってやってやろうと思っているのかを把握したかったのだが、
若者達は英語とフランス語で作戦会議をし、
最終的にはアラビア語を使って会話していたので、全く内容は分からなかった。
こんなに語学堪能だったとは……。

それから何時間かすると、
段々夜が近づいていたので、
若者達は武器を手に持って集合し、
村の皆に、
「俺達が不審者を退治する!」
と宣言しました。

という訳ですが、
村の皆の反応としましては、
「ああ、どうぞお好きに」
って感じで、
大して良い反応ではありませんでした。

それには若者達も、
「えっ、そんな感じなの?」
ってなってて、
「どうしよっか……?」
みたいな感じに、
お互い目を合わせていたんだけど、
もう行くと言った以上、
後には引けないだろ、
ということで、
若者達は勇ましく村を後にし、
目的の場所へと向かって行った。

そして、
次の日の朝。
若者達は帰って来ませんでした。
ただ、若者達は死んじゃいません。
若者達は、
不審者退治にかこつけて、
村を出て行く計画だったみたいです。
今、若者達は山道を歩いています。
皆、元気そうですよ。

だけども、
村人達はその事実を知る由もなく、
「帰って来ないねぇ」
なんて言って不安になっています。
とても暗いムードだ。

そんな中、
村人Bと村の狩猟が、
なぜか大揉めをし出したので、
なんだなんだとなって、
やめなよやめなよってなっているんだけど、
それは全く収まる気配がなく、
村の狩猟なんかはとうとう銃を手に取って、
構えることなく発砲しちゃいました。

ただ、村人Bは無事のよう。
しかし、
綺麗な赤い血が流れています。
残念なことに、
犠牲になったのは村の皆から神童と、
もて囃されていた子供でした。
これはもう即死でしょう。
その子供の両親は当然泣いています。

そんな両親に向かって、
元気な声で、
「すいませんでした!」
と勢いよく謝っていく村の狩猟は、
もう一言、
「また同じ奴を作ればいいじゃないか!」
と耳を疑う発言をし、
反省した様子もなく、
走り去って行きました。

それを見ていた村の人達も、
「確かに
同じ奴を作ればいいだけの話ではある」
とまさかの同調していき、
泣いているその子供の両親に向かい、
「もう終わったことは忘れようよ」
と血も涙もないことを
血と涙が流れている場で言ってのけ、
何事かがあったのに
何事もなかったかのように、
村の人達は解散していきました。

この村の人達は、
人の心を持っていないのか
と思うほどの冷酷さだ。
あまりの酷さに神童の両親は
耳を疑っているんだけど、
その顔は明らかに憎悪に満ちてしまってて、
村を滅ぼす悪魔と化してもおかしくはない状態になっています。

という中で、
琴の音色が聴こえてきました。
その奏者は村人Bです。
村人Bは、
「僕にも原因がある。
これは償いの琴です。
どうか安らかな眠りを」
と言い、いたわしい表情を浮かべ、
琴を奏でている。

だけどもそこに、
「琴弾くなら一言、言ってほしかったな!
一言、言ってから奏でてほしかったかな!」
とキレる村人Bの同居人が現れ、
「ねぇ、早く一言頂戴! 一言プリーズ!」
と大騒ぎし、演奏どころではありません。

騒ぎに駆け付けた村長は、
概要を把握した後、
村人Bに向かって、
「承諾は大事だよ。
承諾をとらないと今みたいに面倒臭いことになる。ちゃんと一言、言っておきなさい。
結局、全て承諾なんだから。
承諾を得たという安心感に勝るものはない。
この世なんて承諾の支配下だよ。
承諾に牛耳られてる。分かるね?
さっ、早く一言、言いなさい」
と言い、人生の先輩面でアドバイスを送っていきました。

という訳だけど、
村人Bときたらしんとした顔で、
「そんなもの全無視すれば何の問題もない」
とキッパリ言い切り、
一言を言わずして、
また琴を弾きはじめていきました。

これには皆、
う~んとした顔になっています。
でも、
唯一、
ただ一人、
それを笑って見ている人がいました。
それは、
不治の病に侵されたあの娘でした。
とさ。

昔々、
ある所とあの場所で、
そして、
不治の病に侵されたあの娘が好きなあの丘で、なにやらどうやら度々、
不審者らしき人物が目撃されていたのだけど、未だそれは解決しておりませんので、
このままこの話は未解決話として終わります。
じゃあ、
そういうことですので、
ちゃんちゃん。

最後の行です。ということで、おしまい。


 

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