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論点解説シリーズ

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司法試験や予備試験で頻出の論点についての理解のためのヒントになるような記事を不定期で配信予定
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記事一覧

【論点解説】刑事訴訟法のあてはめにおける「事案の重大性」

【論点解説】刑事訴訟法のあてはめにおける「事案の重大性」

 任意捜査の限界の際に、犯罪の性質や捜査対象の事件の性質を検討することがあると思う。
 この時、以下のような記述が多い。
 「詐欺罪という重大な事件」「住居侵入窃盗という重い事件」という評価である。これは、何を基準に、どうして重たいのか?という点があいまいである。そもそも、犯罪であり、被害者がいる以上、一般類型的に重大な被害が出ているはずである。
 そうだとすれば、このような評価では評価となってい

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【司法試験】書くべき問題、読むべき問題について

【司法試験】書くべき問題、読むべき問題について

 今日は私が指導の際に話す過去問に関してまとめました。特に、どの問題をどの順番で書くべきか?ということです。
 なお、選択科目は科目によると思いますのでここでは基本7法の話としています。

1 過去問の答案作成は大事  最近、書かない人も増えているように感じますが、自分が受験のころから、それ以前から、そして今も、司法試験(予備試験、法科大学院入試も含む)において、過去問の分析は重要です。そのために

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【論点解説】会社法の利益相反を見落とさない方法

【論点解説】会社法の利益相反を見落とさない方法

 会社法の論点、というよりも条文の適用として利益相反(356条1項2号3号)について、よく見落としてしまうという話を聞きます私自身も現役のころはよく見落としており、その対策としてどうしたのか?という点を、今までの指導経験を踏まえて説明します。

1 利益相反とはどのような状態なのか?を実体的に理解する

 まず、利益相反とは、読んで字のごとく、「利益」が「相反」すること、利益が相反する状態であるこ

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憲法の勉強方法のおススメ動画

憲法の勉強方法のおススメ動画

司法試験・予備試験・法科大学院入試すべての受験生から、憲法の答案がかけないという質問をかなり受けます。

また、答案を見ていても、具体的な自由に対する制約の認定がない、条文の文言や趣旨・歴史的背景から権利性(保護範囲)を確定していない、制約の程度の評価がない(事前規制なら強力、刑罰なら強力とか程度のものでもOK)等、基本的な枠組みがない答案が多く見受けられます。

とはいえ、憲法の勉強方法はたしか

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令和5年司法試験論文式雑感~自分が初見で解いた時の感想(結構間違えているともうので…)

令和5年司法試験論文式雑感~自分が初見で解いた時の感想(結構間違えているともうので…)

はじめに司法試験お疲れ様でした!

 予備試験の方も短答式お疲れ様です!自己採点をしてしっかりつぎに生かしてください。あと、復習もしっかりしてください。せっかく本番で間違えたという大きな傷なので、早めにしっかり固めておいた方が、よく記憶に定着します!

 さて、今日は、今年の司法試験の問題を初見で見たときの自分の感想をざっとまとめました。あくまで初見でみてどうおもったか?なので参考程度ですし、解説

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7条解散と69条解散

7条解散と69条解散

解散権の根拠についていろいろと見解があるけど、実際の運用はどうなっているのか?を説明している書籍は少ない。

現状、衆議院の解散は7条を根拠に実施されている。そもそも、69条の内閣不信任決議による解散は現行憲法が施行されてから2回しか存在しない

まず初回は1947年の日本国憲法施行後初めての衆議院解散となる、1948年12月23日の「馴れ合い解散」である。この日は上皇陛下の誕生日(平成の時の天皇

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明確に理解!行政法における施行令と施行規則の違いと具体例

明確に理解!行政法における施行令と施行規則の違いと具体例

 行政法の勉強で行政立法の学習のする際に、法令の種類をしっかり把握しておく必要があります。ですが、この部分は基本的過ぎて見過ごしていたり、行政法の教科書に書いていなかったり…しているため、なかなか勉強できていない人が多いです。

 行政準則の理解は、「行政規則の外部化」の理解のために重要です。そのため、行政規則に関してへ神経をとがらせるのですが、一方の、「法規命令」の方に関しては関心が薄く学習が進

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【論点解説】共犯で困る前にやるべきこと

【論点解説】共犯で困る前にやるべきこと

刑法の勉強を教えているとよくある話です。

刑法の勉強で躓きやすいのは共犯です。共犯の理解は、非常に難しいですのでよく、共犯がわかりません!!という相談はよく受けます。

たしかに、共犯に関しては司法試験・予備試験では頻出ですし、共犯が絡まないという問題はすくないです。そのため共犯の理解をしっかりしようと思うのはよくわかります。

しかし、共犯は「修正された構成要件」です。すなわち、通常の単独犯の

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【論点解説】憲法~規制の目的の審査方法

【論点解説】憲法~規制の目的の審査方法

今日は勉強の話しです。

 憲法では違憲審査基準の定立までが大事ですよね。あと手段審査。そうすると目的手段審査における目的はどうなるの?って方が多いはずです。
手段審査については関連性とか色々と判例分析してこうだ!みたいな話しが結構ありますが、じゃあ目的は?特に必要不可欠、重要、正当の違いは?ってなりませんか。
 答案戦略的には目的審査で切ると、手段が審査できず特点にならないから、あっさり評価せず

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憲法答案の基礎~書いてる途中

憲法答案の基礎~書いてる途中

1 そもそも憲法とは
国家権力の発動を縛る法⇒名宛人=国家
※法律は国家が国民の権利を創設し義務を課し制限することで,一定の目的をはかるもの
法律は民主的な手段で作成され,官僚による審査を経ているので基本的には合理的なもの
⇒それでも,それがゆえに,多数派に従い,あるいは一部の利権のために法律及びその執行が誤ることはある。それを防ぐ,特に個人の権利として手厚く保護すべき者が人権カタログに記載されて

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過去問のススメ

過去問のススメ

今日は勉強の話題です。
よくある話ですが、司法試験、予備試験、ロー入試の受験生で過去問に着手するのが遅い人がいます。私は,勉強始めたらなるべく早く過去問にあたるべきだと考えています。理由や着手時期は以下の通りです。

まずいつかから過去問に着手すべきか,というと基礎講座などを聞き始める前でもいい!と考えています。要するに法律の知識が全くない状態です。まずは、司法試験等の試験問題ってこんなに長いんだ

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民事訴訟法のIT化と憲法統治

民事訴訟法のIT化と憲法統治

今日は実務的な話…と,思いきや憲法の統治の話。

今,民事裁判は原則として対面でないといけないことになっています。弁論・弁論準備手続きなどもそうです。また書面の提出は郵送かFAXです。今どきまだFAXですよ!最初に弁護士になって覚えるのがFAXの使い方とかでしたよ。送付状の宛名の書き方とか。。しかし,諸外国に比して遅れているということでIT化が進行しています。

現在はフェーズ1ということで,書面

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