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人生を捧げた絵師が結婚したから奥さんのネットストーカーしてる

人生を変えるくらい大好きだった絵師が結婚した。
公表はしていないけど彼女のSNSを見つけた。
そのSNSを眺めて気付いたら自分が好きだったのは絵師ではなく絵師の知名度を使って自分もチヤホヤされたい承認欲求がある事に気が付いた。
これだから絵師に選ばれずこの年まで未婚で処女で喪女なんだと思う。
友人もおらず黒い感情を吐き出す所がないからここに記す。

初めてその絵師に出会ったのは中学生の時。
アニメのOPを見て天才だと思った。
(今でもたくさんの作品にパロディされてる位に有名なシーンになった。)
それからその絵師がやってる作品を全て見たくて、当時はまだネットがこんなに普及していなかったから見れる限り全部のアニメを見て絵師の名前を探した。
アニメ雑誌の存在を知って片っ端から買ってハガキを送った。
将来アニメの世界に入って絵師と一緒に仕事をしたいと思って沢山真似をした。絵は上手くならなかったしヲタクで友達も増えなかったし頭も悪かった。
偏差値の低い短大をひっそりと卒業してアニメ会社に就職した。

絵師とは何度か仕事をした。思い返すと当たり障りのない業務の話しかしていないが、あの絵師と話をしたという事で舞い上がった。

何年も業界にいて絵師も私も会社が変わったが何度か仕事でやり取りをした。運命だと思っていた。
絵師が有名人だから業界にいれば一度は仕事を共にするレベルなのに自惚れていた。


今年の頭に風の噂で絵師が結婚した事を聞いた。信じなかった。喪女が言うのもだが絵師はモテる見た目をしていないし不誠実な事をする人ではないと思っていた。会社の同僚が絵師に結婚祝いを渡そうと思うと雑談しているのを聞いて事実だと知った。

それから結婚した彼女を一目みたいと思いTwitterを漁った。
絵師はフォロワーもフォローも多いから見つけるのば難しいと思ったが、絵師や同人垢へのいいねや共通のフォロワーがいるのにヲタクらしからぬ垢を見つけた。
名前が特徴的でTwitter、Instagram、Facebookを見つけるのは簡単だった。
InstagramとFacebookに彼女のドレス写真を見つけた。そこからドレスと指輪の店垢に行ってみたら彼女と絵師の写真を見つけた。
絵師はネットへの顔出しをしておらず業界の者しか顔を知らない。そこにあったのは絵師の顔だった。

彼女はTwitterが活発で見ていると女の子らしい写真の中にアニメやフィギュアのイベントに行く様子や絵師のアイコンの腕輪や水着をつけた写真、入籍報告のリプは絵師との共通の知人が多くおり、相互フォローも絵師関連の人ばかりだった。最近は絵師の同人作品にちなんだツイートをしていた。

それを見て私は嫉妬心に苛まれた。
何故絵師の隣にいるのか。楽しそうに出掛けているのか。好きな事を仕事にしているのか。有名な人と繋がっているのか。水着や下着の自撮りを出しているのか。

彼女のTwitterを漁る中で黒い感情がある事に気付いた。恋心ではなく絵師の力を借りてチヤホヤされたい自分がいるのではないかと。

もし隣に居るのが自分だったら私も絵師や有名人からフォローされたのに。高いホテルに泊まり美味しい物を食べられたのに。大した事ないTwitterで反応を貰えたのに。全てが羨ましい。

彼女は私と異なり見た目が綺麗だ。友達もいるようでお洒落な場に行き私ではとても着られない服を着ている。所詮絵師も男で若くて綺麗な女に唆されれば結婚する下衆な男だ。そう思わなければ自分が惨めだ。

私の方が絵師を幸せに出来ると思っているが実際は小汚く仕事しかない喪女であの彼女に勝る所はあるのだろうか。絵師は私にないあの美貌や明るさに惹かれたのだろう。

私の長い年月の人生を捧げた片想いは恋心ではなく、醜い自分から目を逸らした承認欲求による盲目的感情だったのだ。

これまでの人生はその醜く自分本位な感情に任せて生きてきた。この黒い感情に気付いた今、自分は何に縋って生きていけば良いのだろう。喪女は喪女なりの生き方を見つけたいが女として見てもらえずただBLを読んで癒し屠り、仕事に行くだけの生活で孤独死する未来とも呼べない将来を考える事が辛い。

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