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変わらないでいてほしい蒲郡の風景

蒲郡は竹島水族館がある建物には

小さなお土産屋さんや

ちょっとした軽食やお団子にジュースが

飲める売店が軒を連ねていた

そこがシャッターを下ろして

静まり返ってしまっていた風景を

見てしまった時は切なくなったし悲しくもあった

お土産屋さんのおばちゃんと別段、

仲が良かった訳でもなく

売店の団子の美味さに惚れた訳でもなく

そこだけは揺るぎなく

これからも在るのだと

信じていた筈の場所が

普遍では無かったのだと

改めて思い知らされた衝撃に打ちのめされたんだ

根拠もなくそう思っていた自分が

ただ変わってほしくない場所なのだと

勝手に思い込み夢見て理想を

押し付けていただけだったのだから

誰が悪いって訳でもなく

なるべくしてなった事なのだ

時の流れや社会情勢には逆らえない

売店の前に並んでいた椅子やテーブルに

置きっぱにされた食べかけの焼きそばや

ビールの空き缶をもう見る事は無く

お土産屋さんの店先に

並んでいた子ども用の一昔前の玩具や

ぬいぐるみの類、アイドルのブロマイドを

もう見る事もなく

なぜ僕は売店でソフトクリームを

食べる機会が何度もあった筈なのに

一度も食べなかったのか

なぜ僕はお土産屋さんの前を通り過ぎても

横目に見ていつでも買えるからと

おせんべいや駄菓子を手に取らなかったのか

いつまでも続くと思っていた当たり前の景色を

いつかは終わってしまうのだと

なぜ子どもの頃の僕は思えなかったのか

思い出になってしまう前に

自分になにかできたのではないのかと

問いかけても

今更何か答えが出る訳もなく

身勝手に悲しみ切なくなり

あぁ悔やんだりする

僕は今どんな風に見られているのかな

蒲郡の風景は変わっていく

蒲郡に限らず何もかもが移り変わっていく

思い出の中の蒲郡から

間違いなく現実の蒲郡は

着実に変わっていってしまっている

これからも変わっていって

しまうだろう蒲郡の風景

変わっていってほしくないと

願っても無理な話なのも分かっている

でもだけれども思い出の中の蒲郡から

変わっていってほしくないと願ってしまうのは

悪い事なのかな

このまま変わっていってしまったら

僕の知っている蒲郡は十年後には

全く別物になってしまって

いると思うと余計に悲しくなってしまう

潮の香りと波打ち際に残る思い出の蒲郡の面影を

拾い集めて大切に胸にしまっていく

蒲郡の海の煌びやかさが

十年先もまだ残っていて欲しい


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