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車の中

車輪の下

少年の心が潰される様が
書かれた
作品ですが

車の中

時に
危険な
場所となる

彼と私は
ドライブに出る

時折
私がドライバーに
なるけれど
基本的には
能力の問題で
彼にお願いしている

うん
でも
彼の車を私の車に
ぶつけられたこと
あるけどね

そんな
些細なことは
さておき

ドライブしていて
そろそろ
遅めのディナーを探して

田舎道を
走り出す
虫の音が聴こえ
蛙の合唱が鳴る

星があまりにも綺麗で
人気も
明かりも
無い場所に
車を止める

虫が
寄ってくるので
ライトは消して
車内から
星を見る

たくさんの星の下
二人は静かに
口づけをする

星の明るさを
月の濃い色を
語りながら

口づけが
重なっていき

息遣いが
車内に満つる

お互いの手が
お互いの身体を求め
まさぐる

彼がシートを倒し
私は彼に重なる

ただ
抱き締め合うだけ

そのつもりで
重なるけれど

そんな意図は
塵として消え

彼のものを
受け入れる

車外の
虫と蛙、自然の音に合わせて
車内の
定期的な大人の動きと
彼と私のあえぎ声が
重なり
セクステットを奏でる

最後の時を迎えて
我にかえる

ふたりの
過去の上書きは済んで
お互いの中で
一つの記録になる

大人になって
こんな
思い出を重ねるなんて

思うけれど

シンフォニックな
ときも
あるよね

うん
あるよね

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