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大邱旅行#04.感動すら覚えたコンクグス

 日本の夏の風物詩が「冷やし中華はじめました」だとすると、韓国では「コングクスはじめました(콩국수 개시)」です。

 コングクス(콩국수)とは大豆などの豆をすりつぶして作ったスープに麺を入れた冷製料理です。

 コン(콩)は豆、グクス(국수)は麺という意味です。基本的には夏限定メニューで、お店によって使う豆や麺の種類が異なります。

wikipediaより>

 濃厚な豆乳スープでとっても美味しそう!

 そう思っていました。料理の説明を聞いたらなおさらです。しかし実際に食べてみると、理解が難しい料理であることが分かりました。

◆10年前の初めてのコングクス

 まずは、とろとろのスープをひとくち・・・。

 うん、まろやかな濃厚スープです。豊かな大豆の風味を感じます・・・が、塩味がない。ただこれは韓国の汁料理ではよくあることで、好みに合わせて塩を入れて味を整えます(地域によっては塩ではなく砂糖を入れる場合もあります)。それでも、味をみたことで分かります。ここに塩を加えたとしても、決して美味しくはならないと。

 はい、その通りでした。

 塩を入れても微妙です。さらに致命的だと思ったのは、麺とスープが合いません。このときはコシの強い太麺が使われていましたが、スープとの相性が悪く、お互いに別の方向へ歩いているようでした。調和する気は一切ありません。

 結局「韓国には美味しいものがいっぱいあるのに、何でこんなの食べるんだ?」という疑問が浮かんでくる始末。不味いわけではないんです。ただ、意味が分からないだけ。

 それがコングクスの印象でした。

◆大邱のとあるお店のコングクス

 今回一緒に大邱を旅した友人と小学生の娘は、コングクスが大好きです。

 不思議なもので、あんなに意味が分からなかったコングクスでも、久しく食べていないと食べたくなるものです。伝統大邱薬令市(전통약령시)の韓医薬博物館(한의약박물관)で足湯を楽しんだ後、コングクスのお店を探すことにしました。

 見つけたのは、市場の細い通りにひっそりとあった昔ながらの食堂。

 外に置かれたメニューを見て決めましたが、残念ながらお店のアジュンマには「コングクスは置いてないのよ」と本場の大邱弁で言われてしまいました。

 残念!

 他のお店にしようかと話す私たちにアジュンマは、「コングクスなら近くの○○(名前は忘れた)というお店でやってるわよ」と教えてくれました。なんと優しいこと。アジュンマありがと~ぅ!

 そしていただいたのが、こちらのコングクスです。

 黒豆を使ったスープにゴマやナッツ類が多く掛かっています。具はウリ科の野菜のエホバク(韓国カボチャ)が入っていて、麺には日本のきしめんに似た少し平べったいカルグクス麺が使われています。

 これが、想像以上の美味しさでした。

 濃厚でコクのある黒豆スープにゴマとナッツの香ばしさが追加され、味も食感も抜群です。塩加減もちょうどいい。少し縮れたこしこしの麺にスープがよく絡んで、箸が止まりません。

 ここで欠かせないのが、キムチです。

 コングクスのコクとうまみがさらに強調されます。ひょっとしたらキムチと最も相性の良い相手はご飯でも豚肉でもなく、コングクスなのかもしれないと思いました。

 こんなに美味しいって、ある?(今まで食べたコングクスは何だったのよ。)

◇◆◇◆◇◆◇

 コングクスは、好き嫌いがはっきりと分かれる韓国料理です。特に外国人は苦手な人が多いと聞きますが、豆腐や豆乳料理が好きで少し変わったものが食べたいと思う方にはおすすめです。

 ・・・と書いて、そういえばコングクスの季節もそろそろ終わりなことに気がつきました。来年ですね。

(大邱旅行記おわり)

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