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ドイツ詩を訳してみる

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2019年8月の記事一覧

ひよこのるる訳詩目録

2018年11月以来発表してきたぼくの訳詩約70編の、作者別の目録です。もし気に入った作品を見つけたら、同じ作者や時代の他の作品も読んでみていただけたらとてもうれしいです。

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作曲家・ミュージシャン別の索引も用意しております。

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以下、作者の生年順に並べています。

Marcus Valerius Martialis/マルクス・ウァレリウス・マルティアリス(ローマ)
c.40-c.

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ブレンターノ「夕べのセレナーデ」(ドイツ詩を訳してみる 13)

Clemens Brentano, Abendständchen (1802)

ほら また悲しげに笛が鳴っている
冷たい噴水もざわめいている。
金色の音たちが降りてくる
しずかに! 耳を澄ませよう。

つつましい願い 穏やかな望みが
世にも甘やかに心に語りかける。
わたしを包む夜のかなたから
音たちの光がわたしを見つめる。

Hör', es klagt die Flöte wieder,
Un

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アイヒェンドルフ「薄明」(ドイツ詩を訳してみる 12)

Joseph von Eichendorff, Zwielicht (1815)

(西野茂雄・志田麓の訳を参考にした。)

シューマンの『リーダークライス』Op. 39 の10曲目として有名です。

最終行は、同じシューマンの『森の情景』の「予言の鳥」の自筆稿でもモットーとして引用されています。

グリューフィウス「祖国の涙」(ドイツ詩を訳してみる 11)

Andreas Gryphius, Thränen des Vaterlandes / Anno 1636 (1643)

「1636年」という副題がついている。三十年戦争(1618-1648)のまっただ中に書かれた詩。

われらは今や完全に いや完全以上に破壊された。
無分別な諸民族の群れや 荒れ狂うラッパや
血みどろの剣や 轟く大砲のせいで
汗と熱意と蓄えが 底をついてしまった。

塔は燃え上

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