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ドイツ詩を訳してみる

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#シューベルト

ひよこのるる訳詩目録

2018年11月以来発表してきたぼくの訳詩約70編の、作者別の目録です。もし気に入った作品を見つけたら、同じ作者や時代の他の作品も読んでみていただけたらとてもうれしいです。

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作曲家・ミュージシャン別の索引も用意しております。

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以下、作者の生年順に並べています。

Marcus Valerius Martialis/マルクス・ウァレリウス・マルティアリス(ローマ)
c.40-c.

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ゲーテ「野ばら」(ドイツ詩を訳してみる 32)

Johann Wolfgang von Goethe (1749-1832), Heidenröslein (1771)

子供が見つけた
野に咲くばら、
まばゆい盛りの
野ばらに駆け寄り
うっとり見つめた。
ばら ばら まっか
野に咲くばら。

「おまえを摘んでやる
 野に咲くばら」
「あんたを刺してやる
 忘れられなくしてやる
 摘まれるのはいや」
ばら ばら まっか
野に咲くばら。

子供が

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ミュラー「菩提樹」(ドイツ詩を訳してみる 18)

Wilhelm Müller, Der Lindenbaum (1823)

市門の前の泉のほとりに
一本の菩提樹がある。
その木陰で 僕は
たくさんの甘い夢を見た。

その木肌に 僕は
たくさんの愛の言葉を刻んだ。
喜びにつけ 悲しみにつけ
その木は僕を惹きつけた。

今日も心ならず真夜中をさまよい
僕は菩提樹のそばを通った。
あたりは真っ暗だったが
僕はじっと目を閉じた。

すると僕に呼びかけ

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ゲーテ「魔王」(ドイツ詩100選を訳してみる 5)

前回のアイヒェンドルフ「月夜」によるシューマンの歌曲もそれなりに有名ではあるとはいえ、一般的な知名度でいうと、シューベルトの「魔王」と比べ物にならない。今回のドイツ詩100選の中でこれ以上に有名なのは、シラー/ベートーヴェンの「歓喜に寄す」ぐらいかもしれない。

フランツ・シューベルト(1797-1828)の歌曲「魔王」は、1815年、18歳(!)のときに作曲し、1821年に Op.1 として出版

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ウーラント「春の想い」(ドイツ詩100選を訳してみる 1)

ちょっと前に Des Sommers letzte Rosen: Die 100 beliebtesten deutschen Gedichte というアンソロジーを見つけた。ドイツ語の詩を、20世紀の主要なアンソロジー50冊の収録頻度順に、1位から100位まで並べたというものだ。おおざっぱに、ドイツで愛されている詩100選だと思っていいだろう。

目次を見ただけで、ドイツで愛されてきた詩の歴史が

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