【小説】日本の仔:第20話
結局、二人とも政府へ精子を提供することになったが、徳永の精液の採取にはかなり手間が掛かったらしい。それもそのはず、実は徳永はマスターベーションをしたことがないというのだ。二十歳にもなって、そういうことに興味がなかったとは変人にも程があると思ったものの、実際に今そういう子どもが増えているらしい。これでは既婚率が下がる訳だ…
全国から集められた優秀な遺伝子を持つとされる精子は冷凍保存され、「日本の子」政策に応募し、厳正な審査を通った女性に提供され、体外受精を経て母親となる女