嶋田青磁

夏を愛する詩人。文学、芸術、旅、映画、ファッションについて。

憧憬

La nostalgie 濃紺のみなもに 銀の絨毯が敷かれたみちを おまへの手をとり 駆けてゆきたかった 裳裾を垂らしたやうな 細く白い雲、澄みゆく大気 耳もとで囁かれるの...

フレア

月明かりさへ霞ませる 燦然たる光は 橙色をして ぼくの心臓を震わす 光はあまりに眩しく 肋骨のすき間を洩れ 辺り一帯に 恒星のリュクスを 撒き散らすやうだ 八月の夜の...

ニコラ・ド・スタール、調和の果てに

近頃の息苦しさは梅雨の煮詰まったような空気のせいだろうか。 何だか息をするたびにごろごろとした夾雑物が肺に取り込まれ、そのまま大きな花に生長してしまいそうな季節...

白波をかすめる海鳥の風切り羽
夕立ちの最初のひと粒
心地よい疲労から眠りへ沈むとき
≒美の在り処

憐憫

淡色の花々を抱(いだ)きながら それらを一つ残らず手折り 埋めてしまいたいといふ衝動 あゝ 憐れな命よ 芽吹き 開花させたるは 紛れもなく ふたつの胸のふくらみの 深...