【BL二次小説】 お出掛け⑦
「……」
歩きながら荒北は思っていた。
新開が何か時間を潰すプランを考えてくれようとしているのが痛いほど伝わってくる。
その気持ちがとても愛しい。
しかし……自分は特に、プランなどいらないのだ。
会話も無くたって構わない。
ただ、二人で居たい……。
それだけで、幸せなのだ。
こうしてゆっくりとブラブラあても無くウィンドウショッピングをしている……これで、充分なのだ。
だから、そんな一生懸命考えてくれなくてもいい……。
そう伝えてやりたいのだが、上手い言葉が見つからない。
まさか「こうして二人で歩いてるだけでイイ」なんて言える筈もない。
だから、黙ったまま、歩いていた。
それは、新開も全く同じ思いだった。
荒北と一緒に歩いているだけで心が満たされる。
このままいつまでも、どこまでも、歩き続けていたい……。
しかし、それでは荒北が退屈してしまうのではないか。
さっきから黙ったままだし。
「つまんねェから帰る」と言われるのが今は一番恐怖だった。
そんな時、とあるメンズアクセサリー屋に差し掛かった。
最近オープンしたばかりの店のようで、結構賑わっている。
「……」
「……」
なんとなく店内を覗き込む二人。
……はっ!
そうだ!
プレゼント!
靖友にここで何かプレゼントを買おう!
今日、買い物に付き合ってくれたお礼!
そう!
それなら自然だ!
よし!
「ちょっと見ていこうよ靖友」
「アア」
荒北も興味を持ったようだ。
二人は店内に入って行った。
中二階のフロア造りで開放的な空間。
モノトーンで清潔感がある。
店内はオシャレな客で溢れていた。
二人は各々好きな物をマイペースに物色する。
……靖友には何が似合うかな。
ネックレスは……キザったらしいか。
ピアスは……穴開けてないしな。
てか、学校で怒られるな。
指輪……。
指輪は……特別な時のために取っておこう。
なんちて!
なんちて!
勝手に想像して照れている新開。
荒北へのプレゼントだ。
選ぶのがとても楽しい。
どれもこれも全部買ってしまいたい。
ああ、もっと自分に小遣いがあれば。
荒北に何でも買ってあげられるのに。
誰かにプレゼントしたくなるなんて、こんな気持ちになったのは初めてだった。
アクセサリーでなくとも、何か小物……財布とか、そう、文房具だっていい。
手帳とか、万年筆とか、ペンケースとか、パスケース……は寮だから必要無いか。
店内の商品がどれもこれも素敵に見え、目移りする。
ああ、選びきれない!
この店ごと買い取ってしまいたい!
新開はそんな妄想で頭がいっぱいになっていた。
……そうだ。
選びきれないのなら、本人に選ばせればいい。
勝手にプレゼントしたところで、本人の好みじゃなかったら残念だし、逆に気を遣わせてしまう。
ここは、本人が欲しがっている物を買ってあげよう。
新開はそう思い、荒北が物色している場所へ向かった。
荒北は革製のアクセサリーコーナーに居た。
ある商品を手にし、じっと見つめている。
ほんのり頬を赤く染めていた。
「……」
何を見つめているのだろう。
新開は荒北の背後からそっと近付き、覗き込んだ。
「……!!」
そして、衝撃を受けた。
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