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テレビの仕事

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本業(副業はしてないけど)のテレビ制作に関する記事です。
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新入社員とキンコンカン健ちゃん

新入社員とキンコンカン健ちゃん

4月。まだスーツを着慣れていない若者たちが街にあふれています。先輩と行動せず、研修中の同世代と出社もランチも共にしている時期です。

先日、新入社員の研修を人事から頼まれたので、制作というものについて少し話す機会がありました。そして都合のあったメンバーとそのまま晩御飯へ。

テレビ業界が上り調子とは言えないなかでこの会社を選んだ新入社員たちは、自分たちの時よりずいぶんしっかりしてるように見えました

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ドラえもんたちに囲まれて(『高校先生クイズ選手権』放送後記)

ドラえもんたちに囲まれて(『高校先生クイズ選手権』放送後記)

ディレクターというのは、潰しがきかない仕事だと思います。手に職がないのです。

もし今の会社を辞めて全然違う業界に転職活動をしたとして「ロケ台本が書けます」「前説できます」と言っても、誰が「それはいいね!」と言ってくれるでしょうか。

ただただ「この番組が進む方向はこっちです!」と旗を振るの役、それがディレクターだと思っています。もちろん今の時代、それにとらわれない人もいますが。

さて、先日『全

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この1年のこと 2022-2023

この1年のこと 2022-2023

8月に43歳になりました。42歳の1年間にあったことをただただ綴る、1年に1度の記録です。

2022年の夏は、10月からリスタートする『月曜の蛙、大海を知る。』の会議を進めながら、後輩が企画立案した特番『ツッコミ観光協会』のプロデューサーとして秩父ロケへ。秩父の皆さんに温かさに触れつつ、笑いの絶えない番組になりました。

9月はプロデューサーとして呪術廻戦特番に携わりました。ケンコバさん、ハライ

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『推しといつまでも』最終回を終えて

『推しといつまでも』最終回を終えて

「テレビ番組は、誰かが傷つかないと作れないと思ってます」

かつて後輩に言われた一言です。そんなわけない。ずっとそれを証明したいと思っていました。

4月から始まった番組『推しといつまでも』の放送が終わりました。3月のパイロット版を含めると放送回数は20回。

一緒にやっていたスタッフが「なんか、全20回の特番みたいでしたね…」と漏らしたのに妙に納得してしまいました。

今回は色々あったこの半年間

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『推しといつまでも』でB'z特集を担当した話

『推しといつまでも』でB'z特集を担当した話

『推しといつまでも』2時間スペシャルが先日放送になり、前半1時間は『B’zの名曲&神ライブランキング』でした。ご覧いただいた皆さん、本当にありがとうございました。

中学生のころからB’zを推し続けて(当時は“推す”という言葉はありませんでしたが)、自分が総合演出を務める番組でB’zの特集ができるなんて…と放送が終わってからしばらく経った今でも感慨深く、全然感慨浅くなりません。

先日のnoteに

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新番組が始まりました(12年ぶりに)

新番組が始まりました(12年ぶりに)

2023年4月17日に新番組『推しといつまでも』が始まりました。「長年心に秘めた推しへの感謝を伝える場を提供する」というコンセプトの番組です。

今回は番組スタートに至るまでの個人的な経緯を、言える範囲で書いてみようと思います。

僕は総合演出という、スポーツでいうキャプテン的な立場で番組制作に携わっています。現場監督みたいなもんですかと聞かれたらそうなんですが、ここで「監督」という言葉が入ってく

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テレビとサプライズとクレームと。

テレビとサプライズとクレームと。

テレビ局には視聴者の方からの意見を受け付ける部署があり、MBSではそれを視聴者センターと呼んでいます。

届く意見は様々で、番組の感想、激励、質問、指摘、疑問、苦言など多岐にわたります。放送した内容に誤りがあった場合、いただいた指摘をもとに訂正放送をすることもあります。

もう14年前の話ですが、MBSが行った『オーサカキング』という夏の一大イベントの演出を任された僕は、ロザンさんが出演する火曜日

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「ご飯行きましょうよ」が嬉しくて

「ご飯行きましょうよ」が嬉しくて

少しずつですが、友だちや同僚とご飯に行けるような世の中になってきました。自分から誘うときもあれば、誘ってもらうこともあります。

「ご飯行きましょうよ」

よく聞く言葉ですが、かつての僕には無縁の言葉でした。30歳過ぎまで、職場の同僚と食事に行くことはほとんどありませんでした。大きな理由のひとつが、僕がとんだ勘違い野郎だったからです。

20代後半から”総合演出”という肩書きを任せてもらえた僕は、

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特番が全然レギュラーにならない男(追記あり)

特番が全然レギュラーにならない男(追記あり)

先日、ある特番の収録をしました。収録は笑いあり感動ありで大変盛り上がり、観に来ていた上司にも「おもしろかった!」と声をかけられました。

大満足の収録だったのですが、収録後にここ数年一緒に番組を作っているスタッフに

「山内さんと作った特番、いつも手応えめっちゃあるし、評判もいいのに全然レギュラーにならないですよね…」

と言われました。その時は「いや、今度こそ!」「そうですね!」と話していたので

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『情熱大陸』和牛編の個人的な話⑤

『情熱大陸』和牛編の個人的な話⑤

3月に放送し、9月にはDVDも発売された『情熱大陸×和牛』。2020年の11月ごろから企画書を書いて吉本さんとの話し合いが始まり、1年が経ちました。いつまで引っ張ってんだと言われそうですが、1年経ってもまだ話せるくらい色んなことがあったんです。これまでDVD発売までの繋ぎになればと個人的な裏話を4回書いてきましたが、今回でラストになります。

オンラインイベントに出演DVDの発売翌日、タワレコオン

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特番放送前夜。(放送翌日の追記あり)

特番放送前夜。(放送翌日の追記あり)

今回は酒も飲めない僕が、特番放送前夜に素面で弱音を書き綴るだけのnoteです。気分じゃない方は楽しい記事を探すか、トップに固定している夢精の記事をお楽しみください。

明日(9月26日)夜『里帰り代行します!』という特番が放送されます。5月に第1弾が放送されて、その第2弾です。前回は日曜午後に1時間の放送で、TBSとMBSの2局ネット(流れるのは関東と関西だけ)でしたが、今回はMBS/TBS系全国

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「山内くん、ラブホやねんけど」

「山内くん、ラブホやねんけど」

皆さん、知らないことを「知らない」と言えますか。言えた方がいいと思うけど、知らないからOKというわけでもありません。でもOKな時もあります。その境目は曖昧…今回はそんな話です。

数年前、僕が総合演出を担当していた番組で、ある旅ロケをすることになりました。出演するタレントは男女1名ずつ、ディレクターのAさんは僕より年上の人です。僕は構成だけ詰めて、ロケ当日は会社で仕事をしていました。

すると、朝

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『情熱大陸』和牛編の個人的な話④

『情熱大陸』和牛編の個人的な話④

3月に放送されて、9月にDVDが発売される『情熱大陸』和牛編。予約も好調のようです。ありがとうございます。

今回は関わってくれたスタッフの話です。

メインカメラマンは、大阪時代からずっと仕事をしている袖垣さん。とにかく空気と間を読んだカメラワークが素晴らしくて『堂本剛のやからね』でもメインカメラをお願いしていました。和牛が言う「おっちゃん2人を追いかけたおっちゃん2人」の”追いかけた方のおっち

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嫌いなものは、ちゃんとディスる(こじんまりと)

嫌いなものは、ちゃんとディスる(こじんまりと)

「どうやってアイデア出しや企画の立案をしていますか?」というお題をいただきました。正直、それに答えるのは気恥ずかしさがあります。僕は別に世間に名を馳せるトップクリエイターではなく、B'zとお笑いとジンジャーエールとハムスターが好きな、ただのいちテレビマンだからです。

とはいえ、日常の業務としてアイデア出しや企画の立案はあるわけで、あくまで「こんなやつもいるんだ」という程度に読んでいただけたらと思

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