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やさしさに、つつまれたなら。


夢をみた。

自分が歌手になっていて、地元の成人式に呼ばれて歌うことになった。

オープニングトークをして、いざ歌を歌おうとすると、新成人たち全員が外に出てしまい、数人の知り合いだけが席に残って、それでも歌わなければならなくて、恥ずかしくて声が出なくなり、大失敗する・・・そんな夢をみた。

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現実でもいつもそうなのだ。

やる気はあって、行動も起こせる。

でも、いざという時に失敗する。特に知っている人の前だと緊張して、今までできていたこともできなくなってしまう。

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先日、HSP気質の方が集まる講座に参加した。

先ほどの夢はこの日の朝みたものだった。

わたしはHSP気質の中でも、HSSという『好奇心旺盛で刺激を求める』気質も併せもったHSP/HSSのため、『知らない人とでも積極的に話す』ことができる。なので受講生の方とも自然と話すことができたし、最終的にはグループの方全員と連絡先を交換することもできた。

ただ、この講義は座学よりもワークショップがメインで、ペアやチームで作業しなくてはならなかった。「間違ってはいけない」と頭の中でブレーキがかかったのが分かった。とたんに今までのイケイケだったテンションが落ち、慎重さに拍車がかかる。

ああ、夢のように失敗してしまうかもしれない

緊張しながら講義を受けていた。

ところが。

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ずっとワークショップを続けていると、だんだん参加者の人となりが分かってくる。グループのメンバーだけでなく、会場全体の雰囲気が伝わる。

参加者は全員HSPかHSS、もしくはHSP/HSS。

過去に受けた講義や、普段の生活では感じられない“あたたかさ”や”やさしさ”が会場全体に広がっている。HSPかHSS、もしくはHSP/HSSにしか分からない、特別な雰囲気がそこにはあった。

今日がはじめましての人ばかりなのに、住んでいる場所も、年齢もみんなバラバラなのに、安心できる。自分の居場所がそこにはあった。

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そもそも、失敗という概念のない講義だった。

正解や間違いのない世界だった。

仮に失敗したとしても、それは試した結果が分かったということだから“〇”なのだ。失敗することは悪いことではないのだ。

つまり、わたしは失敗しなかった。

夢は逆夢だった。

緊張せず、むしろずっとここにいたいと思えるほどの安心と信頼を感じながら講義を終えることができた。

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とにかく、みんなやさしかった。

こんなにやさしい人が一度に集まることがあるのだろうかというほどやさしかった。

HSP気質の方たちなので、もしかしたら周りのために気を使っていたかもしれない。わたしも普段ならそう。そして次の日にはぐったりしてしまう。

でもね、今回は違った。

全然疲れなかった。
人疲れをしていなかった。

いつもなら必ず「あの時こうしていればよかった」と思う部分があるのだが、今回は何一つ後悔しなかった。全力で、全開の自分でいられたのだろう。会場に口紅を落としてきてしまったけれど、それさえも気に病まなかった。それぐらい、最高の気持ちだった。

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自分と違う人と出会うことは刺激になるし、勉強になる。

でも、現実世界のほとんどの人が自分と全く違う人だ。

そんな世界で自分と共通のものをもっている人と一緒にいると安心できる。今回は共通のものが“自分の気質”だからなおさら。そしてこの出会いは奇跡のようだ。

たった8時間の出会いだったけれど、一生のつながりになれる気がした。

たとえ連絡をとることも、再び会うこともないかもしれないが、それでも心は一生むすばれている気がした。

自分と同じ気質、価値観、好きなものをもっている人と出会えたら、その出会いは宝物だ。辛いとき、その人の存在があるだけで乗り越えられる。

HSP気質の方たちのやさしさに包まれて確信した。


辛いとき、苦しいとき、一人で戦っているときに思い出してほしい。

あなたと同じをもつ人のことを。

きっとその人の存在があなたを救ってくれるよ。


牧真姫子🍙エッセイスト(@makicome1986





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