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結婚

焦り

 30歳が目前に迫っている。
先日おばあちゃんに電話をしたときに言われた。
「いい人はいないの?そろそろ結婚しないと。」

それから何か月もおばあちゃんに電話をする気になれなかった。
認知症のおじいちゃんにも年齢を聞かれて素直に答えたら
「結婚は?そろそろしないとだよな。」

そういう言葉が私の焦る気持ちを加速させる。
母は
「今の時代、結婚が幸せとは限らない。そういう価値観でもないでしょ。
焦って結婚したって良くないよ。」
そう言葉をかけてくれる。
母のそんな言葉が私の生き方を肯定し背中を押してくれる。

先日友人の結婚式に出席した。
友人やその家族の幸せそうな姿は正直羨ましかった。
友人夫婦が出会ったときから知っていたから
無事この日を迎えることができて嬉しく思った。
披露宴で友人が読み上げた家族への手紙は
本当に素晴らしく、彼女らしい優しさと愛が詰まっていた。


心からおめでとうと思う気持ちでいっぱいだった。
ただ家に帰ると私の心は結局自分に向いていた。

結婚がすべてではないし、幸せになれるとも限らない。

でも結婚して子供を産むなら早い方が良い。
家族に囲まれて過ごすのが幸せ。(これらはこれまで社会に植え付けられた固定観念か、それとも真実か。)

このまま一人で生きていくことが、自分にとって本当に幸せなのか。
大切に育ててくれた両親に対して、結婚式で感謝を伝えたいし
素敵な姿を見せたかった。両親に申し訳ないな。
もうこの先、自分は”一緒に生きていきたい”と思える人と出逢うことはないんじゃないか。
そう思って友人に勧められた婚活アプリを開く。

そこにはいろんな条件が羅列されている。
条件が合えば”いいね”、合わなければ”ごめんなさい”。
そういえば友人が言っていた。

「婚活アプリでの恋人探しは、就活と一緒。
私はこれが好きです、これができます、将来はこうしていきたいですって
自分が求めていることと相手が求めることが一致すれば付き合う。
そこに感情はなくてただの作業だよ。」

妙に納得した。
確かに就活そのもの。
初めから興味のない会社には説明会にも足を運ばないし
エントリーシートも出さない。
自分がやりたい仕事ができるか?自分の働き方に合うか?
そういうことを調べたうえでエントリーをする。
そうすれば入社後のギャップ(価値観の不一致)に悩むこともない
そういうことか。

自分は本当に結婚を望むのか?

 私と同じように、30歳目前にして
親しかった友人がどんどん結婚していく現状に焦っている人も
多いと思う。

私は、婚活アプリを開いて相手から寄せられた”いいね”を
処理しているうちに自分が本当はどうしたいのかわからなくなった。
だんだんと面倒くさいと思ったりして。

幼稚園の頃、将来の夢を聞かれたときに”美容師”と”看護師”とか
頭が良さそうに見えるかなと思って、統一性のない一番頭の悪そうな
事を言っていた。
他の子が”お嫁さん”と言うのを「お嫁さんなんて、誰でもなれるのに」
と思っていた自分に言ってあげたい。
「お嫁さんになれることは当たり前じゃないんだよ。」と。

私は今の生活に満足しているいるし、以前の記事にも書いたように
この自由な一人の生活を捨てることはできないだろう。
それなのに、結婚を羨ましく思って勝手に焦って不安になっていたとしたらそれは貴重な時間がもったいない。

みんな違ってみんないい

 国語の教科書にあった。

みんな違って みんないい
        金子 みすゞ

 そんな当たり前のことをどうして私たちは見失ってしまうのか。
それは他人からの言葉によって傷ついたり、喜んだりするからなのかな
と思う。
人は承認欲求の塊であって、人から評価されたいという想いは
誰しも持っているだろう。
そして何よりこの日本という社会が、
”結婚”という固定概念を少なからず私たちに教えてきた。
最近では”多様性”を認め合うことへ舵を切ったように思えるが
まだまだ根底ではジェンダーに関する問題は山積みだと感じる。

ただ自分もその固定観念の当事者だからこそ、
自分自身の結婚観と自分の中にある社会ではこうあるべきという結婚観が
ぶつかり合って、焦って、不安になっているんだと思う。

だから同じような想いを抱えている人に
このまとまりのない想いが届いて
少しでも自分自身がこの道を選んで、自分の意思で歩いているんだと
勇気を持ってもらえたら嬉しい。

追伸:つくづく自分には文章力がないなと思う。
ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございます。

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