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麻利央書店

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高島麻利央による、短編小説~無料版~
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2018年10月の記事一覧

同窓会④

同窓会④

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同窓会③

 目の前にいたはずの得体の知れない女がいつの間にかいないことに亜沙美は気付いた。テーブル全体を見回すと3、4人いなくなっており、どうやらコースについているサラダバーを取りに行ったようである。そして、亜沙美の目はテーブルのちょうど真ん中に座る同級生に自然と向けられた。なぜなら彼女は大きな声を発しながら身振り手振りを使って、まるで演説かのように話し

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同窓会③

同窓会③

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同窓会①
同窓会②

 その、得体の知れない同級生と目を合わせないようにして、私は参加している他の同級生の顔ぶれを確認した。そうすることで、この居心地の悪い場所から逃れられるような気がした。
 5名ずつが対面して座っている長テーブル。亜沙美が一番入口から遠い席に座っていた。亜沙美はちょうどはす向かい、入口近くに座る幹事ゆいの目の前にいる女性に自然と目が行っ

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同窓会②

同窓会②

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同窓会①

 同窓会の当日の朝。亜沙美は朝一番の新幹線に乗って、中学校時代を過ごした福岡へ向かった。博多から地下鉄で繁華街の天神へ向かった。中学校の3年間しか過ごしていない福岡で、しかも中学生時代に繁華街に行くことはほとんどなかったため、懐かしいという感情は湧くと言うよりも、テレビで芸能人が食べ歩きをしたり、ドラマや映画の撮影が行われたりする街、と言う感情

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