見出し画像

全盲にも関わらずクライミングに全身全霊を懸けている小林幸一郎さんの姿が人智を超えていると感じた『ライフ・イズ・クライミング!』

【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:34/78
  ストーリー:★★★★★
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★★

【作品情報】

   原題:-
  製作年:2023年
  製作国:日本
   配給:シンカ
 上映時間:89分
 ジャンル:ドキュメンタリー
元ネタなど:フリークライマー、パラクライマー「小林幸一郎」

【あらすじ】

出会いは2001年。「右手、1時半、遠め。右、右、右!」、遠くから聞こえる相棒・ナオヤの声を自分の目のように頼り、8の字結びのロープでつながり、命をゆだねて岩を登るクライマー・コバ。コバは視覚障がいのため、今はまったく目が見えない状態だ。

世界選手権4連覇を成し遂げたふたりが次に目指したのは、ユタ州の大地に聳え立つ真っ赤な砂岩フィッシャー・タワーズの尖塔に立つこと。

このとんでもない冒険の結末は?そして、その時コバの目はどんな景色を見るのだろうか?

【感想】

フリークライマーでありパラクライマーである小林幸一郎さんに密着したドキュメンタリー映画。自分の語彙力のなさを情けなく思うけど、これは本当にすごいと感じました。。。

<自らの境遇を悲観せず挑戦を続ける姿勢に圧倒される>

小林さんは若い頃に網膜色素変性症という進行性の病気を発症し、現在では完全に視力を失っています。にも関わらず、55歳となった今でもクライミングを続けているんですよ。もともと16歳のときから初めているそうなので、体の感覚としては残っているんだとは思いますよ。それでも、まったく目が見えない中で、サイトガイドの鈴木直也さんの指示を頼りに登り続けているんですよね。しかも、世界大会で何度も優勝するほどの実力者なんですよ。自らの置かれた境遇に絶望したこともあったそうですけど、目が見えなくてもやれるんだということを体現するその強さには心打たれます。

<そもそもフィジカルが強すぎる>

この映画を観て僕が一番すごいと思ったのは、小林さんのフィジカルの強さです。おそらく、全盲ということで、通常のクライマーよりも体力と筋力を使うんじゃないでしょうか。もちろん、まわりが見えないことに対する心理的疲労というのもあるとは思いますが、もっとわかりやすいところで言うと、単純に移動に時間がかかる分、体への負担も増えるんじゃないかなってことです。。小林さんは鈴木さんの指示を受けた上で、手探りで掴むところを探してるんですよ。目の見える人ならば、自分のペースで次に掴むところを目視しながら進めますが、小林さんは目が見えない分、その掴むところを探し当てる時間が必要になるんですよね。そうなると、その時間分、体を支えている必要があるから、余計に筋力を使い続けることになるのではないかって思うんです。特に、手の指と腕にかかる負荷は相当なはずですよ。もしかしたら、普通のクライマーよりも強いかもしれません。その上で、小林さんは世界の強豪を制して頂点に立つだけでなく、大自然の岩にも挑戦していますし、さらには障がい者へクライミングの指導も行っているんです。その情熱と行動力には凄まじいものがありました。

<小林さんの友人も超人>

また、今回は小林さんの友人としてアメリカ人登山家のエリック・ヴァイエンマイヤーという方も出ているんですが、この方もまた全盲の登山家で、なんと世界七大陸の最高峰を完全制覇しているとのこと。これもまた目が見えない分、普通の人よりも精神的・肉体的により消耗するはずなんですよね。。。世の中には超人がいるんだなと知りました。。。

<そんなわけで>

目が見えずとも果敢にクライミングに挑戦する小林さんの姿はぜひ一度観てほしいなあと思います。視界がない中で高いところに登るという感覚がどんなものか、僕には想像もできませんが、逆にそのような状況でも楽しめるクライミングというスポーツへの興味が強まりました。こういう素晴らしい日本人がいるということを、ひとりでも多くの方に知っていただきたいですね。


この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?